県議会一般質問

連続した台風により定期船などの長期欠航で奄美の小売スーパーでは食料品の品薄・欠品など影響が出た(資料写真)

原則船舶単価での補助 輸送コスト支援事業 欠航時の航空便活用
食料品事前備蓄 課題と認識、支援策検討

 9月定例県議会は22日、引き続き一般質問があり、園田豊議員=自民党、南さつま市区=、小園成美議員=同、指宿市区=、向井俊夫議員=同、奄美市区=、中村正人議員=同、霧島市・姶良郡区=が登壇。向井議員が奄振の農林水産物等輸送コスト支援事業で台風による船舶欠航時、航空便の活用ができないか質問したのに対し、現行制度では原則船舶単価での補助になっているなど航空便振り替え活用がしにくい状況が説明された。

 西正智・地域政策総括監の答弁によると、船舶欠航時の代替輸送手段への補助は設定単価の範囲内で航空輸送費の一部を補助できるが、現行の制度(奄振輸送コスト支援事業)では船舶単価での補助となるほか、航空機の貨物スペースが臨機応変に確保できないのが課題となっている。西総括監は「地元市町村からの要望もあることから、奄美群島振興開発総合調査において現状把握しつつ、引き続き運送事業者や出荷団体等と協議して問題解決に努力したい」と述べた。

 離島での生鮮食品など備蓄倉庫の必要性について西総括監は、台風発生時などの離島の物流対策で2020年度に市町村との意見交換を実施したことを報告。「食料品等の事前備蓄に関しては課題と認識している」とし、各地域の実情に応じた対応を検討するとして昨年度、台風発生時の仕入量や輸送手段変更などの対応について市町村や店舗への実態調査を実施。その中では事業者から発注のタイミングの難しさや大量発注して売れ残った場合の活用方法、航空機を活用して仕入れた場合のコスト高など経営の観点で懸念する意見もあったという。西総括監は「備蓄倉庫については市町村が活用できる国の制度もあるが、引き続き意見交換を行いながら県としてどのような支援ができるか検討したい」と答弁した。 

 離島の物価高、燃油価格差是正では高騰による影響緩和策として県では、市町村が実施するプレミアム商品券発行で生じる経費について6月補正予算に計上。同商品券をガソリンなどでも使用する場合、離島世帯についてプレミアム率の加算がある場合、それぞれに県の補助の上乗せを行っていることが説明された。

 今年度奄振予算の全体的な進ちょく状況の答弁があった。国土交通省一括計上の公共事業は7月末現在、契約率約36%で前年度同時期の契約率を約15ポイント上回っているものの、非公共事業は予算額に対する支出済額の割合は約14%となっており、前年度と比較して同水準となっているとした。

 世界自然遺産登録に伴い徳之島に計画されている世界自然遺産センターについては谷口浩一・環境林務部長が答弁。世界自然遺産地域の保全管理および適正利用の拠点として環境省が徳之島町花徳に整備するもので、今年度実施設計を行い23年度中の着工完成を目指している。センターの展示コンセプトは「徳之島リビングミュージアム」で、徳之島の自然を間近に感じ、徳之島ならではの自然と共にある暮らしの姿に触れられる場所として来訪者、島民と徳之島の自然とをつなぐ拠点施設を目指す。センターと同じ敷地内には徳之島町が奄美群島成長戦略交付金を活用、センターとの施設間連携により人の流れを創出し交流人口拡大と地域活性化を図ることを目的に、体験交流型の観光拠点施設整備を予定。今年度の事業費は約4300万円で、同施設もセンター同様、23年度中の完成を目指している。