マンゴー生産新技術研修会

生産性向上に向けた新技術の報告説明があったマンゴー研修会

植物ホルモン剤使用
夏秋梢の伸長抑制、着果安定へ

 マンゴーの生産技術向上などを目的とした研修会が22日、奄美市名瀬浦上町の県農業開発総合センター大島支場であり、奄美大島と喜界島の安定生産の課題となっている秋冬季の再発芽を抑制する新技術などについて、県大島支庁や同支場の担当者らが植物ホルモン剤を使用した実証試験の結果などを報告した。

 研修会は県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会の主催。奄美大島のマンゴー農家やJAあまみ、自治体職員ら約50人が出席。喜界島の農家らもWEB参加した。

 県大島支庁などによると、県本土や熊毛地域のマンゴー生産性に比べ、奄美地域の生産性が低いことや、年ごとの生産量の差が大きいことなどが指摘されており、課題解決に向けては、秋冬季の栽培管理方法の確立が課題となっている。

 こうした中、研修会では植物ホルモン剤の「ターム水溶剤」を使ってマンゴーの新梢を抑制する新技術が紹介された。同ホルモン剤は、8月30日にマンゴー栽培への使用が可能になったばかりで、マンゴーの着果に影響を与える夏秋梢の伸長を抑え翌年の着果を安定させる効果が実証されている。

 収穫期などから県本土などでは、来年度以降でないと使用できないが、奄美では9月下旬から10月上旬の使用が可能となる。

 研修会では大島支場が2019年~20年に行った栽培試験の成果が報告され、同支場職員が水溶剤を散布することで新梢の伸長抑制された結果などを説明した。一方、散布時期が遅れるなどした場合、翌年のつぼみが遅れる原因となる恐れもあることから、使用法用に注意が必要という。

 大島支場の担当者は水溶剤の使用方針について、8月中にせん定を終えたうえで、9月下旬~10月初旬の散布を推奨。1000倍に希釈し、1回のみの使用などの使用方法を守ることなどを求めた。

 このほか、秋冬季の栽培管理のポイントとして、ビニールハウスなど被覆のある園地では、光合成を高めるため透過性に配慮することや、粘土質の奄美特有の土壌改良などがあげられ、ハウス内の湿度管理や十分なかん水、通気性の改善なども次年度の生産性向上につながることが指摘された。