奄美でも半旗で弔意

安倍元首相の国葬が行われた27日、県大島支庁の庁舎にも半旗が掲げられた

安倍元首相国葬「議論招かないよう制度化すべき」
見送った自治体「残念であり寂しい」

安倍晋三元首相の国葬が行われた27日、奄美でも県の出先機関である大島支庁や市町村庁舎で弔意を示す半旗が掲げられた。市町村の中には掲揚を見送ったところもあり足並みがそろわなかったが、自治体職員からは「(国葬に対し)賛成、反対の国民を二分するような議論が起きたのは残念。こうしたことを繰り返さないためにも、きちんと国葬を制度化し分かりやすいルールづくりに乗り出すべきではないか」との声も聞かれた。

庁舎への半旗掲揚は、県が本庁舎や出先、研究機関など30施設(知事部局で)。鹿児島市にある本庁舎では午前7時過ぎ、国旗や県章、県のシンボルマークの三つの旗が半旗にして掲げられ、奄美市名瀬にある大島支庁でも庁舎屋上にある掲揚台で同様に行われた。県の施設に半旗が掲げられたのは、中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が行われた2020年10月以来、2年ぶり。

奄美の市町村は対応が分かれた。奄美市など8市町村は庁舎に国旗と市町村旗を半旗にして掲げ弔意を示したが、喜界町、大和村、瀬戸内町は半旗を見送り、与論町は通常行っている国旗と町旗の掲揚自体を見送った。職員や住民に黙とうを呼び掛けた市町村はなかった。

国葬や弔意の示し方について自治体職員からは「多くの外国要人が来日したことから、岸田文雄首相が弔問外交でメリットを示すことができれば、トータルで見て今回の国葬実施はプラスになるのではないか。ただ、開催に対する賛否が渦巻いただけに、国葬の必要性を国民に明確に説明できるよう基準を示すなど制度化すべき。未整理のまま踏み切ったことが混乱を招いた」(50歳代男性)、「国葬としてふわさしいか議論があるとしても開催が決まったのなら地方自治体の弔意の在り方として半旗だけでなく、黙とうも呼び掛けるべきだったのではないか。県や市町村、統一した取り組みをすべきだった」(50歳代女性)。半旗掲揚を見送った自治体では「首相在任期間が憲政史上最長であり、長年にわたって日本を支えられた方。国のリーダーとして国葬にふさわしい多くの功績を残しただけに、地方自治体として弔意を示すべきだったのではないか。残念であり寂しい」(40歳代男性)と戸惑う職員もいた。