世界自然遺産・徳之島部会

ネコ対策が奏功、脅威薄れによる〝人・車馴れ〟もロードキル増の一因指摘も(アマミノクロウサギ資料写真)

ネコ対策で〝脅威減〟も背景?
手々地区 クロウサギの交通死増加

【徳之島】「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議」の今年度第2回徳之島部会と自然利用部会(県主催)=オンライン=が27日あった。アマミノクロウサギ侵入防止柵設置によるロードキル(交通死)対策や「沖縄・奄美」世界自然遺産登録観光連携事業を含む地域別行動計画の進捗状況、世界遺産委員会要請事項への対応案などを協議した。

環境省や県、3町当局、自然保護団体など関係機関・団体が参加。県自然保護課の中山直樹課長(8月就任)は「世界自然遺産に登録されて1年3カ月。世界自然遺産委への具体的対応(回答)は12月1日。今後のわれわれの初動は大変重要になってくる」などと協力を求めた。

「徳之島行動計画」の今年度新規項目には、世界遺産委の要請事項であるクロウサギ・ロードキル対策としての侵入防止柵の設置(県)、エコツアーガイドブラッシュアップ研修及び出前授業(徳之島虹の会)、奄美・沖縄世界自然遺産登録観光連携事業(奄美群島航空・航路運賃軽減協議会)、環境学習教育研修(北海道の高校生・東洋のガラパゴス生物多様性・80人受け入れ)(虹の会)、オンライン国際交流環境学習(同)なども加わった。

ロードキルを防ぐ路上へのクロウサギ侵入防止柵の「具体的な場所は?」の質問に、県側は、今年度県施策は奄美大島のみで徳之島施策は「誤り」と訂正する場面も。また、徳之島地区自然保護協議会の関係者は、徳之島町手々地区でロードキルが増えている背景に「ネコ対策の効果でノネコへの脅威が減り、クロウサギが車馴れしてきたのも一因では」とも指摘した。

ほか、虹の会側は、諸行動計画案について「検討や情報収集中が多い。具体的施策や予算も示してほしい」と指摘。県側は「世界遺産委に報告後、しっかりと予算を組んで取り組みを進めたい」とした。

環境省が進めるモニタリング項目シート評価のうち、「侵略的外来種の生息・生育状況」に関するノネコ・ノラネコ対策では、同発生源の飼い猫の適正飼養に関するマイクロチップの装着率は「奄美大島が登録個体の5割に対し、徳之島は1割未満と低調」と課題の一つに挙げた。

世界遺産委の要請事項に対する回答対応スケジュールは、来月5日に科学委員会、同12日に今年度第2回地域連絡会議を開いてそれぞれ助言を得て11月上旬に環境本省へ。12月1日に世界遺産委にレポート提出の予定だ。