「ダイサギソウ」開花

開花の時期を迎えた「ダイサギソウ」。周辺で開花が確認できたのは1株だった

奄美大島の自生地
盗掘繰り返される希少ラン

 奄美大島の山地で絶滅危惧種「ダイサギソウ」が開花している。花期は9~10月。奄美大島5市町村の希少野生動植物保護条例で採取が禁じられているが、昨年も自生地で株ごとなくなるなど盗掘が繰り返されている。純白の花は秋の野山を彩ってこそ輝く。

 『奄美の絶滅危惧植物』(山下弘さん著)によると、ダイサギソウは千葉県以西に分布する地生ランで、奄美群島では奄美大島、徳之島に分布する。

 日当たりの良い林縁に生え、純白の美しい花は長さ2~2・5㌢と小さい。花の形がシラサギの飛ぶ姿に似ていることが和名の由来。開発や園芸採取などで減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に位置付けられている。

 奄美大島の自生地では盗掘が繰り返されていることから、関係機関によるパトロール強化、監視カメラ設置など保護が図られている。盗掘により株が年々少なくなっている自生地もある。

 島内5市町村は2013年10月、希少な動植物の保護を目的に共通の保護条例を制定。ダイサギソウを含む植物35種と動物22種を指定して捕獲や採取を禁じている。違反した場合、1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。