災害弱者支援の実現へ

個別避難計画策定の考え方を伝えた県地域防災アドバイザー・村野剛さん(1日、奄美市役所)

個別避難計画策定向け勉強会
「リスクマネージメント」に

 奄美市と奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)・県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部(中里浩然支部長)は1日、「災害時の要介護者等の適切な避難に関する研修会」をオンライン開催した。群島内から介護・医療従事者など約80人の他、配信会場の市役所に両協議会役員・市職員約20人、計約100人が参加。個別避難計画策定に向けた勉強会に、県地域防災アドバイザー・村野剛さん(60)が登壇。災害弱者支援の実現に向け、その策定の考え方を学んだ。

 今年1月16日未明、南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火により発せられた津波警報で、自ら避難ができなかった障がい者、高齢者など「避難行動要支援者」が多数いたことが、各市町村で課題となっている。これを踏まえ、両協議会が同2月、5市町村の居宅介護支援事業所及び地域包括支援センターに所属する介護支援専門員に対し、実態調査を実施。73人(担当要支援者1844人)が回答。▽同居家族以外の他者の手助けが無いと避難所などへ避難できない 43%▽避難行動について想定できない 76%▽全員が同計画作成を必要と感じる―など結果を受け、今回の研修会の開催となった。

 勉強会は「いきのこる、いきのびる~災害弱者支援の実現に向けた個別避難計画策定の考え方~」と題し村野さんが登壇。▽自然災害・社会的弱者のリスクの高さ▽各防災情報の入手方法▽総合防災マップの確認―など解説。個別避難計画の作成にあたっては、「危険な場所でなければ事業所内にいてよい」など、リスク管理を踏まえた、支援者、要支援者双方の身を守る、避難行動の詳細を具体的に盛り込む必要性を訴えた。

 村野さんは介護支援専門員らに対し「個別避難計画を作ることが、災害を想定した課題抽出、人、物の事前の準備となる。計画を立てることで、一人で30人、40人担当する介護支援専門員を助け、リスクマネージメントになる」と話した。

 奄美大島介護事業所協議会・勝村克彦副会長(51)は「今回の研修会は、介護支援専門員たちの勉強のスタート。作成で終わりではなく更新が必要な計画として、専門員たちを通して地域で取り組んでいければ」と語った。