奄美各地で運動会

伝承活動の一環である「宇宿稲すり踊り」を児童たちが披露した=宇宿小学校

 

宇宿小では伝統行事「稲すり踊り」披露

 

 奄美各地の多くの小学校で2日、秋季運動会が行われた。奄美市では、宇宿小が郷土芸能の伝承活動を披露し、小湊小・名瀬小がともに創立150周年を迎え、記念行事を実施。各校で児童たちは、短距離走や応援合戦など各種目に元気いっぱい取り組み、練習の成果を発揮。観戦した保護者・地元住民たちは、応援だけでなく競技にも参加し、各会場を盛り上げた。

 奄美市笠利町の宇宿小学校(岩戸修二校長、児童37人)では、晴れ間広がる空の下、2022年度「秋季大運動会」を開催。開会にあたり同校の伝統活動「宇宿稲すり踊り」を児童たちが披露。三味線や太鼓、指笛など鳴り物の軽快なリズムに合わせた踊りが、グラウンドいっぱいに展開された。

 「宇宿稲すり踊り」は、明治時代から同校区で踊られてきた伝統芸能。1965年に発足した「宇宿稲すり踊り保存会」により継承・保存され、71年に旧笠利町(現奄美市)の無形文化財に指定。同校では、93年から伝承活動一環として取り組み、毎年10月に行われる運動会・市小中音楽発表会などで発表している。

 この日、同踊りを児童たちが、三味線=サンシン=やチヂン(太鼓)、ハト(指笛)の鳴り物、踊りなど各グループに分かれて、同校グラウンドで披露。保護者らが見守る中、児童たち向けに調整された形で、稲の脱穀・籾すり・精米など一連の所作を踊りを通して表現。豊作に感謝する同踊りが、今年も無事伝承された。

 今年9月に発足、児童たちに同踊りを指導した「宇宿っ子稲すり踊り守り隊」の石川香夏会長(35)、前島恵美奈副会長(36)は、保護者であり、同校の卒業生。前島副会長は、「シマ唄離れがあるなか、子どもたちはすぐ習得して、素直に学んでくれた。宇宿と言えば『稲すり節』と胸を張って伝承してくれれば」と、母校が約30年かけてつないできた、郷土芸能への思いを語った。

 鳴り物・唄を担当した6年・泉燈伍君(12)は「3年から唄っている。今年は特に上手く唄えた」と笑顔で話した。

 他にも六調が踊られた後、運動会は開会。各種目で熱戦が展開された。

 

 

地域一丸となって力いっぱい引き合った150周年記念競技の綱引き=小湊小学校

 

150周年、地域一体で 小湊小

 

 1872(明治5)年奄美群島初の小学校として創立した小湊小学校(竹平勝志校長、児童9人)では「第75回創立150周年記念秋季大運動会」が開催。児童9人に対して保護者、地域住民、奄美看護福祉専門学校の学生ら地域住民100人以上が一丸となって、児童、一般、混合の13プログラムではつらつと汗を流した。

 150周年記念競技の綱引きでは、約50人が紅白に分かれて対戦。劣勢のチームには次々と住民が飛び入って助け合うなど、ロープを通して地域の〝き綱〟を確かめた。

 全校による表現「新時代」では、児童たちが懸命に考えた踊りを披露。フィニッシュ後は「祝150周年!これからも地域と共に」と書かれた横断幕を広げ、地域の人たちを驚かせた。

 紅組団長の6年・山城凱正君は「みんなが楽しめているのが何より。(150周年には)いい思い出になった」と笑顔だった。

 

 

親子で仮装して参加した綱引き=名瀬小学校

 

祝砲15発のサプライズ
名瀬小、150周年記念運動会

 
 1872(明治5)年11月に名瀬郷校として創立した、名瀬小学校(上村英樹校長、児童328人)では、2022年度「創立150周年記念第75回運動会」が開催。スローガンは「歴史のバトン 未来へつなぐ みんなが主役の運動会 思いよ届け スットゴレ魂」。時折小雨が降るなか、全14プログラムで児童や保護者たちは盛り上がった。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、入場は1家族2人までの制限。プログラムの合間には給水タイムを設けるなど、熱中症対策も徹底する中で行われた。

 6年親子競技「ONE ROPE GET!~私たちは最強!元気150%~」では、親子が愉快な仮装姿で白熱した綱引きで戦った。「八月踊り」では、全児童300人以上が入り乱れ壮大な踊りを披露。閉会式では、創立150周年を記念したサプライズとして、15発の祝砲が打ち上げられた。

 閉会式で上村校長は「多くの人の協力で運動会が開催されたことに感謝し、運動会で発見した自分や友達の良さを、これからの学校生活に生かして」と呼び掛けた。

 白組団長の山田海愛さん(6年)は「応援合戦はみんなで声を出し表現もできた。綱引きやリレーではみんなで協力し、良い思い出ができた」。紅組団長の静あかりさん(6年)は「団長としてみんなを引っ張り、協力し合って思い出になる運動会となった」と笑顔を見せた。