アマミノクロウサギのロードキル発生状況
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議」の2022年度第2回奄美大島部会が3日、オンラインであった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が示す課題4項目への報告書を公表し協議。絶滅危惧種のロードキル(交通事故)対策について、引き続き地域ごとの対策の強化が必要とした。報告書は科学委員会など関係機関の承認を経て、12月1日に同委員会へ提出する。
地域連絡協議会は環境省や県・市町村、自然保護団体などで構成され、奄美・沖縄の4地域にそれぞれ部会を設置。地域内の適正な管理のあり方や、連絡調整・合意形成を図っている。
世界遺産委員会からの要請事項は、①観光管理②アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル(交通事故)対策③河川再生④森林管理―の4項目。
種の存続や生態系への影響が懸念されているアマミノクロウサギのロードキルは、20年ごろから個体の急増に伴い多発。特定の区間に集中しており、大和村の町道や湯湾岳周辺(宇検村)の一部の道路区間に、侵入防止用のフェンスを設置し、継続的なモニタリングを実施。また関係機関で生息状況と遺伝解析など、化学的な検証を進めていることなどが報告書に盛り込まれた。
また、持続可能な自然環境形成事業として、龍郷町で外来種の分布調査・駆除作業を実施。適切な観光管理の実現へ向け、市道三太郎線周辺の夜間利用適正化の自主ルール試行や、金作原原生林の車両侵入規制を継続する。
協議では「(フェンスなどで)野生生物の行動を制限するのではなく、人間の行動を制限すべき」との指摘や、「自主ルールなどは県・国レベルで情報発信するなど、周知方法の徹底が必要」などの意見が挙がった。
今後の世界遺産委への要請事項対応スケジュールは、▽5日=科学委員会▽12日=第2回連絡会議―で協議・審議し、▽11月=環境省へレポート提出▽12月1日=世界遺産委員会へレポート提出―となっている。