龍郷町でおもてなし研修

実際に車いすに乗って段差などを体験する参加者たち

誰もが気兼ねなく旅行を ユニバーサルツーリズム推進へ

障がいの有無や年齢に関係なく旅行を楽しめる環境を整えるユニバーサルツーリズム(UT)を推進する事業「おもてなし研修会」が3日、龍郷町のりゅうがく館であった。旅行や宿泊業、観光団体職員ら18人が参加。講演や実体験を通して、誰もが気兼ねなく旅行ができるような仕組みづくり、環境整備のあり方などについて考えた。

奄美群島UT推進事業の一環で、県大島支庁が主催。オフィスFUCHI(埼玉県)代表のUTアドバイザー・渕山知弘さんを講師に招き、UTの現状を学ぶ「講演」と、障がい者心理を知る「実体験」の二部構成で研修を行った。

渕山さんによると、高齢者や障がい者は全人口の3割を占め、60代の人と同じ旅行回数に引き上げられれば、新たに5200億円の市場が生まれると試算。「訪日外国人旅行(インバウンド)に次いで需要の見込める市場で、地域としてはいつ着手するかという時期に来ている」と訴えた。

渕山さんは「あきらめていた旅を叶えるツアー」と題し、車いす利用者が巡る「四国八十八カ所ツアー」や視覚障がい者を対象にした「自動車運転体験ツアー」などの事例を紹介。いち早く商品化した企業は売り上げに結びつけているとした上で、「できない理由を探すより、どうやったらできるかを考えてほしい」とアドバイスした。

後半は参加者ら同士でペアを組み、アイマスクでの歩行や車いすでの移動を実際に体験した。有効ツールとして、車いす牽引=けんいん=装置による対処法なども学んだ。