徳之島出身 義山さん主宰の絵画展

義山さんのアクリル画「畏怖」。下地の黒はナイフで。自然の防空壕を描いている


ヒラオカタマコさんの色鉛筆画「PEACE」と募金箱

「第8回世美展」開催ウクライナ支援募金も

 【東京】徳之島出身の画家・義山正夫(画号・奄宮東世)さん(82)の主宰するグループ展「第8回世美展」が東京都狛江(こまえ)市の泉の森会館2階ギャラリーで、4日から開催されている。同展には、過去最多の32人が参加。その鮮やかな色彩が展開する空間には、多くの人が訪れている。

 「世美展」は参加型のグループ展。伊仙町出身の義山さんが、2015年に発足した。幼い頃から絵に親しんだ義山さんの腕前は、近所でも評判だった。終戦の混乱期に一家は、密航船で徳之島から奄美大島、鹿児島へ。宮崎で育った。

 宮崎の小学校時代、島の事情を知る沖縄出身の教師に出会い、絵描きを夢見るように。武蔵野美術大学に進学。その後は、アニメーション会社で「アルプスの少女ハイジ」などの彩画を担当する。やがて、経営者として「寝る間も惜しむほど忙しく、80人の従業員を抱え生活は潤った」と奮闘した。ところが64歳の時、心筋梗塞に倒れてしまう。路上で苦しんでいた義山さんだったが、経営者として地域で著名だったため「即搬送され、最高の治療を施されたことで命拾いした」。人とのつながり、ありがたさを知って、70歳にして絵画の世界に戻ったのだった。

 「絵のある暮らしの素晴らしさを皆様と共に」をテーマにした「世美展」には、松原俊雄狛江市長も、毎年足を運んでいる。奄美新聞で義山さんの活動を知った、伊仙小学校時代の同級生が、先ごろ再会を果たすため徳之島から訪ねて来た。二人は72年の時を戻して、震える言葉を交わした。

 「第8回世美展」は9日まで。午前10時から午後5時まで。最終日は午後4時まで(問い合わせはTEL03・5497・5444)。場所は、小田急線狛江駅北口徒歩1分。会期中、全額ウクライナ大使館へ寄付する支援募金を受け付けている。