地域科学委

沖縄会場とWEB会議併用で行われた地域科学委員会

モニタリング調査結果 飼い猫管理など3項目低評価
世界遺産委への報告案協議

「奄美大島、徳之島、沖縄島及び西表島世界自然遺産地域科学委員会」の2022年度第1回会合が5日、沖縄県青年会館会場及びWEB会議併用で行われた。世界遺産委員会からの要請事項への対応状況と、モニタリング結果について協議した。

同科学委は、学識経験者から自然環境の適正な保全管理に必要な科学的助言を得るために、2013年に設置。世界遺産委からの要請事項▽観光管理▽絶滅危惧種のロードキル(交通事故)対策▽河川再生▽森林管理―について、それぞれの専門タスクフォースで報告書をまとめた。

観光管理については、特に西表島観光客の訪問レベルの管理や、法的な立入規制の取り組みを進める。ロードキル対策は、優先的に対策の強化が必要な区域などの交通管理措置を強化し、4島の効果検証を継続する。包括的な河川再生戦略を策定し、河川工作物の影響把握調査と検証を開始。森林管理については、林業事業者と行政機関で連携を図り、自然環境に配慮した取り組みを進める。

12日の地域連絡会議での承認を経て、12月1日までに世界遺産委員会へ報告書を提出する

遺産価値の維持と強化を目的として19年に制定された「遺産地モニタリング計画」では、保全状況及び対策の調査結果を『S・A・B・C』の4段階で評価。21年度は多くがSとAの高評価だったが、①ロードキル対策(奄美・徳之島・西表島)②希少種の捕殺被害対策(徳之島・沖縄島北部)③飼い猫の管理状況(奄美・徳之島・沖縄島北部)―の3項目で、保護管理の見直しが必要なB評価となった(調査準備中や未評価を除く)。

また事務局では情報発信の一つとして、遺産地4島の魅力をまとめた出版物の刊行を計画。「引き続き科学的助言のもと遺産管理と課題解決に向け、新年度は新しい体制を構築したい」とした。