高齢者疑似体験の教材(手前)を装着し、福祉の意味、他者を理解する大切さを学んだ(4日、古仁屋高校体育館)
福祉の心とともに、多様性を認め合う大切さを知ってほしい――。瀬戸内町の古仁屋高校(米澤瑞代校長、生徒82人)で4日、総合的な探求の時間で「高齢者疑似体験・車いす体験」講座があった。講師に、県社会福祉協議会の介護実習・普及センター職員2人を招き、1年生17人が参加。各疑似体験を通し、福祉の心を学ぶとともに、社会の多様性の理解、他者を受容する大切さを学んだ。
1学年の総合的な探求の時間における「職業理解・進路選択」の一環として、同センターが実施する2022年度「地域ジュニア福祉体験教室」を活用し開催。高齢者や障がいのある人に対する理解及び福祉の心の育成を図り、誰もが暮らしやすい社会づくりを考えることが目的。
指導にあたり、同センター推進員・原口保さん(67)は▽高齢者(65歳以上)は現在全人口の約30%▽2100年には約40%を超えると予想―など伝え、体験講座を開始。「高齢者疑似体験」では、視覚障がいゴーグルの他、関節の動きを制限するサポーター、重りが付いたバンドなどを身に付け、▽配膳や食事▽ステッキを用いた歩行・階段の昇降―など、日常生活の所作を高齢者の身になって体験した。
「車いす体験」では、押す側、利用者側をそれぞれ体験。ブレーキ操作、乗り方など学ぶとともに、「双方の信頼関係を築くことが大事だ」と学び、段差昇降などを実践した。
中治春さん(15)は高齢者疑似体験を通し「(高齢者らの)大変さ、不自由さが理解できた」とし「改めて優しく接していきたいと思った」と感想を述べた。
学年主任の川原一祥教諭(47)は「福祉の大切さとともに、今後、多様化した社会に出ていく生徒たちに必要な体験学習と考え、講座を依頼した。他者と関わる中で、色々な違いをお互いに認め合う大切さを学んでもらえれば」と話した。