トゲネズミのはく製に興味津々の保枝君親子
講話をする、城ヶ原教授
「アマミトゲネズミ講演会~研究成果と啓発普及の取り組み~」(奄美市立博物館・沖縄大学共催)は5日夜、同博物館で行われた。博物館の平城達哉学芸員および沖縄大学の城ヶ原貴通教授が講師を務め、動物園と連携した保護の取り組みや、これまでに解明されてきたアマミトゲネズミの研究成果などの講話があった。
一般参加者は定員30人の満席。そのほか、保全活動を行っている埼玉や神戸、富山などの動物園関係者が参加し、講話に耳を傾けた。
平城学芸員の講演は、演題「奄美博物館における希少種保全に関する啓発普及の取り組み」。親子自然体験会や世界自然遺産推進共同体とのイベント開催など普及活動を紹介。保全の取り組みとして、島内で行う環境保全や外来種駆除などの「生息域内保全」と、島外の動物園などで飼育し繁殖させ個体数を増やす「生息域外保全」が行われ、両保全のバランスが重要と説明した。
城ヶ原教授の講演は、演題「アマミトゲネズミの最近~生物進化は面白い!~」。哺乳類のほとんどの性染色体がオスとメスで異なるのに対し、トゲネズミの性染色体はオスとメスが同じで、iPS細胞を使った研究などが行われ、「性の進化に謎の多いネズミ」として、世界中の研究者が注目しているとし、「オスとメスがどのように決められているかはいまだに謎」などと説明した。
参加者からは「トゲ(体毛の進化)は何のためにあるのか」や「環境でオスとメスが決まるのか」などの質問があったが、予測はあるものの解明には至ってないとの回答があった。
城ヶ原教授は「世界の研究者が注目し、いろいろな研究が行われていることを知り、自分たちの住む島に多くの希少生物がいることに、誇りを持って保全してほしい」と話した。
奄美市名瀬から参加した、保枝志琉=しりゅう=君(12)は「動物に興味がある。今回の講話は難しかったが、すごい生物が身近にいることを自慢したい」と笑顔を見せた。