離島空港サーモグラフィー設置事業

奄美空港の到着ロビーで行われているサーモグラフィーによる検温(資料写真)

県補正予算計上 水際対策 事前予防で意義
発熱確認数少なくても継続

 県は、新型コロナウイルス感染症対策で奄美空港など離島の県管理空港や港湾で、サーモグラフィーによる検温を実施している。空港での発熱者の確認は2021年度13人、22年度は今年4~7月末現在で1人にとどまっており、離島でも爆発的に増加した新規感染者数の実態と隔たりがあるが、県は水際対策で事前予防の意義などから検温体制を継続していく。

 離島空港・港湾へのサーモグラフィー設置は新型コロナ発生確認当初の20年3月から。緊急対策として実施し、当初は観光客など入込が多い奄美空港、屋久島空港、種子島の西之表港を対象にしたが、空港の場合、現在は県管理7空港全てに設置している。

 空港では到着口に機材を設置し、委託を受けた職員2人体制で、サーモグラフィーの画面に表示された乗客一人ひとりの画像をチェック(スクリーニング)するもの。発熱を示す一定以上の温度を測定すると、画面上の人影が白く映る。発熱確認者には連絡先など記入してもらい、島内移動にあたって市町村が行う追跡調査が必要となった場合に備える。発熱確認者には新型コロナ感染の症状や相談機関の連絡先を掲載したパンフレットの配布も行われた。

 サーモグラフィー設置事業は今年度の9月補正予算にも計上(3040万円、補正後の累計7705万2千円)され、5日にあった県議会最終本会議で可決された。一方で事業に対し「成果が出ていない」との反対意見もあった。発熱確認者の数の少なさを挙げたもので、港湾空港課によると、離島空港での確認数は21年度喜界12人・徳之島1人、今年度は喜界空港での1人のみとなっている。

 同課の小濵磨課長は「熱が高い人を確認した場合、島内への移動を止めることはできないが、症状からマスク着用の必要性やクラスター(感染者集団)発生への注意など呼び掛けることで抑止効果がある。離島は医療提供体制が脆弱であり、島内で感染が広がると影響が大きいことから、検温は事前予防として必要なこと。発熱確認者数が少ないからと言って、やめるべきではない」と説明。水際での監視機能は離島住民の安心につながることから、今後も事業を継続していく方針だ。