新しい大蛇で踊り奉納

白い衣装を着た坊主が大蛇を退治する場面=知名町上平川=

作業工程、写真や動画で記録
知名町上平川

 【沖永良部】知名町上平川集落に伝わる県指定無形民俗文化財「上平川大蛇踊り」が10日、同集落の殿智神社で奉納され、新しく作り直した大蛇が空を舞った。

 大蛇踊りは、所作と音楽、舞踊の3要素を備えた音楽劇で、300年以上前から踊り継がれているとされる。

 踊りを考案した幸山政孝翁を祭る殿智神社は、1954年に建立され、毎年旧暦の1、5、9月の各15日に例祭が営まれている。

 上平川大蛇踊り保存会(西村兼武会長)は、今年度、県の補助事業を活用して古くなった大蛇と、それを保管する籠を新調した。作業工程は写真や動画で記録し、制作技術の継承に役立てる。

 神事の後、大蛇踊りを奉納。美しい女性が大蛇に化けて人に襲いかかる場面では、柱に吊された全長約9㍍の大蛇が空中で乱舞し、観客を魅了した。

 保存会の西村会長(73)は「多くの住民が協力してくれたおかげで、十数年ぶりに大蛇を新しくできた。作り直す作業を通して、分からない部分や工夫すべきところも見えてきた」と語った。

 踊りを見学した今井力夫町長は「昔からの文化を保存継承できる集落の力に感心した。町を作っているのは集落であるという基本の姿を見せてくれた」と話した。