宇検村・世界自然遺産博士講座「サシバ観察会」

宇検集落の上空を飛翔するサシバ(10日、宇検漁港)

飛翔するサシバを見つけ、その場所を指し示す参加者たち(同)

秋到来、自然の豊かさの象徴
専門家講師に座学も

 2022年度宇検村「やけうちっ子環境学習 世界自然遺産博士講座」の第4回「奄美のかわいい野鳥たち~サシバ観察会~」(村教育委員会主催)が10日、宇検漁港で開催された。昨年に続き2回目となった同講座の観察会に、家族連れを中心に約60人以上が参加。講師を務めた、NPO法人奄美野鳥の会・鳥飼久裕さん(62)、同村生勝出身の野鳥写真家・与名正三さん(70)とともに参加者たちは、上空を飛翔するサシバの姿を観察した。

 この日の講座は、講師二人による座学を実施後、観察会を開催。宇検防災会館で開かれた座学には、同村の児童生徒20人、宇検漁港での観察会には一般参加者らも集まった。

 座学で鳥飼さんは、奄美には▽アカショウビンなどの夏鳥▽サシバなどの冬鳥▽ルリカケスなどの留鳥▽旅鳥・迷鳥―がいることを説明。日本で観察された野鳥の6割が生息する奄美群島は、「鳥たちにとって楽園である」と話した。

 与名さんは、9月末ごろから4月中旬まで、本土から奄美大島に越冬するサシバについて、▽1羽1羽の色が異なる▽獲物を追う雄の体は、巣を守る雌の4分の3の大きさ▽毎年同じ場所へ越冬する―など特徴・特性を解説。また、出身地でもある同村のサシバについては、▽94%が山で、草木と昆虫が豊富なことから密度が高いと推測▽縄張りは300~400㍍間隔―など報告。「サシバがいることが、自然の豊かさの象徴である」と同村の児童生徒たちに伝えた。

 観察会は、当初雨に見舞われ同会館で待機後、宇検漁港に移動し開催。雨上がりの曇り空での観察となったが、漁港前にある林の上空を旋回するサシバを、目視できる距離と高さで確認。参加者たちは、空を舞うその姿を追い、観察した。

 昨年に続き参加した阿室小3年・宮上美玲さん(8)は、「家の近くでもサシバを見ることができて、去年よりも(飛来の数が)多いと思う。たくさん見られるのはうれしいが、サシバたちのためにも自然を大事にしていきたい」と話した。