世界遺産地域連絡会

ユネスコへの報告書がオンライン会議で承認された

課題4項目の回答承認
合意報告書 12月1日までにユネスコ提出へ

 世界遺産委員会からの要請課題の回答をまとめた報告書案が12日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議」のオンライン会合で承認された。関係12市町村首長と、鹿児島県・沖縄県および環境省など約100人が出席。合意した報告書は12月1日までに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出される。

 報告書は、学識経験者らで構成された科学委員会や、遺産地それぞれの地域に部会を置く地域連絡会議などで協議を重ね、この日の会合で合意した。世界遺産委からの要請課題は、①観光管理②絶滅危惧種のロードキル(交通事故)対策③河川再生④森林管理―の4項目。

 報告書には課題への回答として、▽「西表島観光管理計画」を制定し観光客の訪問レベルの管理・法的な立ち入り規制に取り組む。奄美・徳之島は持続可能な観光分散化の取り組みを継続▽交通事故対策として侵入防止柵やアンダーパス・ドライバーへの注意喚起の強化▽包括的な河川再生戦略を制定して、自然な連続性再生に向け、河川工作物が緩衝地帯の生物に与える影響調査・検証を進める▽林業事業者や行政と連携し、年間伐採量の制限など、自然環境に配慮した森林管理に取り組む―との概要がまとめられた。

 5月の骨子案作成からの経過を振り返り、事務局は「多くの議論を重ね、ようやくここまでたどり着いた。さらに改良すべき点など協議を継続する」とした。

 報告書は11月上旬環境省へ提出し、外務省を通じて12月1日までにユネスコへ提出される。