オットンガエルの白色個体確認

大海昌平さんが確認し記録した白色個体(上)と通常のオットンガエル=大海さん提供写真=

色素異常ではなく突然変異か 関係学会に報告
繁殖参加まで成長

 奄美大島中部の山間部で、県指定天然記念物で奄美大島と加計呂麻島のみに生息するオットンガエルの白色個体が確認された。色が抜けたような状態の色素異常(アルビノ)ではなく突然変異とみられ、関係学会にも報告されている。

 オットンガエルの白色個体を確認したのは奄美両生類研究会会員で、日本爬虫両棲類学会の会員でもある大海昌平さん(66)。9月下旬に確認し写真撮影、記録したが、カエルの生態に詳しい大海さんは「色素が抜けるアルビノなら特長として目の色も抜け、赤っぽい色になる。確認されたオットンガエルは全身が真っ白で、目も黒いまま。明らかにアルビノとは異なる」と指摘する。写真と報告書にまとめ、珍しい白色個体の確認を日本爬虫両棲類学会に報告したという。

 大海さんは外観から見てオスの個体と判断。大きさは頭胴長=とうどうちょう=が約10㌢。オットンガエルの繁殖期は夏から秋で、周囲にはメスも確認され、繁殖に参加している状況から、生まれて3年以上経過した「3歳の終わりから4歳」と推測。「こうした白色個体は目立つことから外敵に襲われやすく、また体質的に弱くすぐに死んでしまうと考えられている。繁殖に参加できるようになるまで成長するのは、他の専門家に聞いても『奇跡的』ということだった」(大海さん)。白色個体の胴部分には薄い赤色の傷のようなものもあるが、生き延びている。周囲では卵も確認できたという。白色が遺伝するかは不明。

 大海さんによると、現在も生息が確認されており、動きが鈍いことからとどまっている状態。大海さんは「繁殖に参加していることから、いなくなることはないのではないか。周囲には沢もあり、ミミズなどの餌も豊富。こうした個体が生息できるのも奄美の自然の豊かさを示している。観察して見守っていきたい」と語った。

 メモ

 オットンガエル アカガエル科で、奄美大島と加計呂麻島のみに生息する大型のカエル。名前の「オットン」は生息地での呼び名に由来。体はオスが93~126㍉、メスが111~140㍉。体は頑丈で頭部は幅広く、前脚はカエルとしては例外的に5本の指(通常は4本)をもつ。鼓膜の上部から体の後ろに向かって不連続な皮膚の隆起列がある。絶滅危惧IB類に指定(環境省ホームページより)。