空き家対策で協定締結

空き家対策に関する協定を締結した安田市長と県宅建協会の中馬会長(左)

奄美市と県宅建協 空き家解消、定住促進へ連携

 奄美市は14日、公益社団法人鹿児島県宅地建物取引業協会(県宅建協会)と、「空き家等の対策の推進に関する協定」を締結した。市内の空き家の市場流通促進と新たな危険空き家発生の抑止、定住促進などを目的に、市が所有する空き家情報を同協会を通じて不動産業者に提供、空き家の賃貸や売買、危険空き家の撤去などを図る。同日、市役所で締結式が行われ、安田壮平市長と県宅建協会の中馬敏夫会長が協定書を取り交わした。

 協定は、市が所有する空き家や所有者に関する情報について、所有者の了解を得たうえで宅建協会に提供。県宅建協会は情報をもとに所有者へ空き家の利活用などについて働きかけを行い、賃貸や売買などにつなげることで、空き家の解消を図る。

 協定締結式には中馬会長のほか、県宅建協会奄美支部の師玉俊朗支部長も出席。安田市長は「空き家に関する情報を共有することで、空き家の流通を促進し、空き家の減少、発生の抑止につながることを期待している。協定締結を機に、力を合わせ空き家対策と定住促進、地域経済活動の活性化に取り組んでいきたい」と期待。中馬会長も 「会員ネットワークを生かし、定住人口の確保や空き家が危険な廃屋とならないように協力したい」などと話した。

 市と県宅建協会は2015年に空き家バンクに関する協定を締結するなど、空き家利活用促進のため連携を図ってきたが、島外在住の空き家所有者も多く、空き家の利活用が進まないケースも多かったという。今回の協定締結により、市と不動産業者の情報共有が進み、空き家の利活用促進が期待される。

 11月には、空き家の所有者や相続予定者らを対象に、空き家を放置した際に起こりうる問題点とその具体的な対策方法を学べるイベントを開催。県宅建協会の会員らによる相談会も行う。

 市が2019年度に実施した空き家調査では、市内に▽建物が良好で利活用可能な状態225戸▽利活用するには一部修繕が必要411戸▽改修困難で周囲に危険を及ぼす可能性がある383戸―など計1049戸の空き家があることが分かっている。

 一方で、市や県宅建協会奄美支部などによると、近年、奄美大島への移住希望者は増加傾向にあり、空き家などの不動産に関する問い合わせが増えているものの、所有者の承諾が得られないことなどから、提供できる空き家が少ないことが課題となっているという。