えらぶ郷土研

開発予定地の事前調査を行う先田光演会長=知名町田皆=

開発予定地の事前調査活動、今年度で終了
「記録保存でき大きな成果」

 【沖永良部】えらぶ郷土研究会(先田光演会長)が、2001年から続けてきた基盤整備事業の予定地における事前調査活動を今年度で終了することがこのほど、分かった。会員の高齢化が主な要因。

 郷土研究会は、島の歴史と文化を後世に残すことを目的に1998年に設立。

 事前調査活動では、基盤整備事業により島の歴史的な景観や遺跡が破壊されるのを防ぐために、県や和泊、知名両町の関係機関に協力を依頼し、開発予定地内の文化財の調査や景観写真の記録保存などを行ってきた。調査において島特有の地形や貴重な動植物の生息地などが見つかった場合は、環境に配慮した整備を行うよう助言もしてきた。

 今月1日、知名町で計画されている県の畑地帯総合整備事業第2田皆地区(区画整理)と同事業知名南西部(区画整理)の2カ所を調査。史跡の有無の確認や特徴的な地形を撮影した。

 調査の結果、防風帯の役割をしていた岩場の保存活用や、方言で「ジーイシ」と呼ばれる岩場から採れる石灰岩を土留めとして利用することなど七つの意見を報告書にまとめた。報告書は知名町教育委員会を通じて県へ伝えられる。

 先田会長(79)は「農業の機械化が進み、区画整備は仕方のないこと。活動の結果として整備されずに残った場所は少ないが、消えてしまった島の景観や伝承地について記録保存できたことは大きな成果だ」と話した。

 これまでの調査結果は、和泊町歴史民俗資料館に保存している。