世界自然遺産の懐の集落に完成した天城町営住宅「アトリエ・ハウスinTOVU」(円内はワンルーム形式の室内)=15日、同町当部
【徳之島】天城町が「世界自然遺産の山々を背負い自然を感じる町営住宅に―」などをコンセプトに、奄美大島出身の建築家山下保博氏とのコラボ―レーションで同町当部(とうべ)集落に建設していた町営住宅「アトリエ・ハウスinTOVU」(2棟)が完成。15日、地域住民を交えた内覧会や植樹イベントなど「オープンハウス」セレモニーがあった。
場所は、世界自然遺産登録エリアに連なる「美名田山」(438㍍)=奄美群島国立公園(第2種特別地域)=のふところに抱かれた当部集落(武田久夫区長、世帯数27世帯・45人)。名所の湧水「東又泉(あがりまたいじゅん)」の西約2百㍍付近。典型的な過疎集落の一つだが、同集落にとっては町政史上初の公営住宅に。
約2千平方㍍の敷地内に木造平屋建て2棟(延べ床面積158平方㍍)。「世界自然遺遺産の山々に抱かれた地にふさわしい町営住宅に」と、設計・デザインは建築家の山下氏(一級建築士事務所奄美設計集団および奄美イノベーション㈱代表取締役)に委託していた。
特徴としては「敷地の持つ広さや景色の良さを生かし、シンプルでありながら他とは違う外観。琉球文化の影響も受けた徳之島の建築として表現。内部はアトリエのように大きなワンルームを用意。住人が自由に仕切れるような空間に―」などコンセプトを盛り込んだ。
「オープンハウス」には住民など関係者約40人が参加。森田弘光町長は「世界自然遺産の懐にマッチした建物をと思っていた。住民一同で(U・Iターンなど)入居者を歓迎して欲しい」。山下氏は「住民に寄り添い、後ろに世界自然遺産を背負いながらアート・芸術的な心を持って絵を描いたり作品を創るアトリエのような場所に」とも期待。ドアは玄関とバス・トイレの2カ所のみというワンルーム的な空間の広がる室内も案内した。
武田区長(77)は「アマミノクロウサギも庭先に遊びに来ることもある当部集落。(町には)当部にふさわしい建物を、とお願いしていた。既に本土からのIターン者の1組は決定。入居される方々とは、全住民でコミュニケーションを深め大切にしていきたい」などと話した。