うすいシェフ自ら配膳も。珍しいアサヒガニに客らも期待の笑顔
【東京】奄美大島、佐渡島、隠岐の海士町の3島から取り寄せた、島ならではの食材を使った1日限りのレストランが10日、神保町(東京都千代田区)でオープン。10月10日は「魚(とと)の日」と、離島経済新聞社ではこの日「魚(とと)の日限定オープン!プロが選ぶ3島直送おさかなレストラン」をオープンし、離島の魅力、魚の魅力を広く紹介した。
会場となったパティオ神保町店には午後と夕方の各20人の事前申し込みの参加者らが集い、シェフやスタッフから魚にまつわる話や、スクリーンに映し出される各島のビデオを鑑賞しながら、普段なかなか口にできない新鮮な魚に舌鼓を打った。
この日は日本料理家のうすいはなこさんがシェフを務め、魚の達人、築地魚河岸三代目の小川貢一さんがスペシャル助っ人で参加、仲卸業で長年、魚に携わってきた目線で魚の魅力を伝えた。
佐渡島からはマルヨシ鮮魚店、海士町からは「島食の寺子屋」、奄美からは奄美市名瀬の「あまみの魚たち」店の店主、神山宗徳さんらが目利きとして選んだ、それぞれ旬の鮮魚、メバル、イカ、アサヒガニが直送された。料理に合うようにと、各土地のお酒も用意された。
一品ずつ料理が提供されると料理にまつわる話が語られ、小川さんからは日本の周りを流れる寒流暖流が漁業にもたらす影響などの話が、海士町の漁師・大窪諒慈さんからはスルメイカの生態が紹介され、参加者らは熱心に聞き入っていた。
ゆでたアサヒガニ、メバルは昆布じめの刺身で、キュウリ、ショウガとともにごま油と塩であえたケンサキイカのサラダなど、珍しい料理に参加者らも満足げに箸をはこんでいた。メバルの唐揚げには、天つゆに紅葉おろしの代わりに新潟の発酵調味料「かんずり」が添えられていたり、うすいさんならではのアイデア料理に満足していた。
うすいさんは「シケで素材が届くか不安だった。届くものが重ならないかも心配していたが、それぞれの魅力あるものが届いた。過剰なことはせず、個性を生かした料理を提供した」と話した。
母親と参加した50代の女性は「コース料理のように出てきてびっくりした。料理もお酒もどれもおいしかった。黒糖焼酎は初めてだったけれど、飲みやすくて、奄美に行ってみたくなった」。浅田誓子さん(60代)は「旅に行くきっかけになる。シンプルな味付けで、素材の良さが伝わってきた」と話した。
メバルのアラとアサヒガニでだしを取ったみそ汁でコースは締められ、参加者らは満足げに箸を置いた。
ゲストシェフのうすいさんは「魚はたくさん食べることができる。それも魚の魅力、縦に長い日本は海に面している面積が世界の6位。離島の魚のおいしさを届けたい、箱を開けると、それぞれの島の匂いがした」と結んだ。