住用町三太郎峠 外来植物モニタリング講習

市道三太郎線(住用町西仲間)で外来植物のモニタリング調査を行う参加者たち

 

 

住民からのデータを集計し、来年報告会へ

 

 奄美大島での外来植物の現状を知るための講習会と現地調査が23日、奄美市住用町であった。鹿児島大学環境学研究会の主催で、島内から約30人が参加。自然を脅かす外来植物の見分け方や、モニタリングデータの記録と報告の仕方を学んだ。参加者らは今後、自主的に身近な地域のモニタリングを行う。

 絶滅危惧種を含む多くの固有種が生息する奄美大島において、地域住民の外来植物モニタリングへの理解を図り、多くのモニタリング協力者を得ることが目的。

 外来植物の現状について講演した釣谷洋輔さん(奄美群島国立公園管理事務所)は、公的機関と連携した住民参加型モニタリングの必要性を強調。侵略的外来種が生態系や農林水産業へ与える影響を説明し、「全ての外来種の駆除は困難で、優先順位による駆除作業と、早期の発見・防除が重要」と訴えた。

 鈴木英治さん(鹿大国際島嶼教育研究センター)は、「外来植物は人家付近に定着し、徐々に分布を拡大する」とし、アメリカハマグルマなど20種類の外来植物を紹介。鵜川信さん(鹿大農学部)からはデータの報告手順の説明があった。

 講習を終えた参加者らは三太郎峠に移動。小雨の中、山道を散策して外来植物の識別や記録方法などを学んだ。

 同町西仲間から参加した和田美智子さんは「最近入ってきた外来植物は識別が難しいが、外来種が自然に及ぼす影響などを島民みんなが意識してほしい」と話した。

 参加者らは今回のモニタリング調査方法に沿って、自主的にデータ(写真・位置情報)を環境省奄美野生生物保護センターと鹿大環境学研究会に報告し、同研究会は2カ月間の集計データの報告会を来年行う。