奄美市景観計画策定委

景観計画策定に向け意見交換する委員ら

おがみ山からの眺望で判断
名瀬市街地特別景観区域 建物の高さや外観基準

奄美市の自然や文化などの景観を未来への財産として継承する指針として、同市が策定を進めている「奄美市景観計画」策定委員会(委員長・木方十根鹿児島大大学院教授)の2022年度第2回会合が25日、市役所会議室であった。計画は、一定規模の建築物などの建設、開発行為を届け出制とすることなどを盛り込むもので、名瀬の中心市街地(約43ヘクタール)と名瀬港(本港区)埋立地のマリタウン地区(約8・7ヘクタール)を合わせた「名瀬市街地特別景観区域」の景観について、「おがみ山(行幸広場)から臨む名瀬湾の海面や市街地を囲む山に被らない高さ」に、建築物の高さなどの基準を設定することを確認した。

会議には木方委員長ら8人の委員が出席。9月にあった第1回会合の議論を踏まえた景観計画案を市企画調整課が提示。名瀬市街地特別景観区域全体の景観や、建物の外壁、屋根の色彩などの基準について協議。計画の運用指針案などについても意見交換した。

計画の対象となる区域は市内全域。名瀬市街地特別景観区域以外は一般景観区域とし、笠利町の「赤木名地区」、住用町の「内海周辺地区」については特別景観区域の候補地としている。

計画では、事前の届け出対象とする建築物について、▽一般景観区域が高さ10メートル以上または延べ床面積500平方メートル以上▽名瀬市街地特別景観区域が高さ20平方メートル以上または延べ床面積1500メートル以上とし、高さのほか、外壁や屋根、設備などについて一定の基準を設けることで、街並みなどの景観保全を図る。名瀬市街地については、おがみ山からの眺めを基準とし、街並みなどについて周囲の眺望を著しく阻害しないよう配慮を求めている。

景観計画の運用指針案では、届け出のあった建築物などの適合性を判断するため、都市整備課や土木課、建築住宅課、商工政策課、紬観光課の各課長らで組織する「庁内審査会」を設置する方針が示された。委員からは、届け出が多く提出された際に、素早く対応できるよう機動性のある組織となるよう体制構築を求める意見があった。

市景観計画は2018年度に策定委で計画案がまとめられたが、その後の世界自然遺産登録などを受け、景観条例の制定などを見合わせていた。市は今後、年内の計画を策定と景観条例の制定を目指すことにしており、広報周知期間を経て、来年4月1日の運用開始と条例施行開始を予定している。