奄美市下水道事業運営調査会

安田市長に下水道料金の引き上げなどを答申した松元会長(右)

料金の引き上げ答申
来年4月から実施へ 標準家庭で660円値上げ

 奄美市下水道事業運営調査会(松元忠敏会長、委員8人)は27日、下水道料金の値上げなどを盛り込んだ「持続可能な下水道事業運営について」、安田壮平市長に答申した。答申で示された新たな下水道料金は、基本料を800円に引き上げ、使用量ごとに変動する従量料金を従来の7区分から4区分に変更。標準家庭(3~4人家族)の1カ月の下水道料金は660円程度の値上げとなる見込み。料金改定実施時期は来年4月1日としている。

 同市の下水道事業は現在、「公共下水道事業」(名瀬地区中心部)、「特定環境保全公共下水道事業」(笠利地区の一部)、農業集落排水事業(住用地区と笠利、名瀬地区の一部)の3種類の下水道に区分され、基本料金は公共下水道事業は700円、残り2事業が600円となっている。使用料は使用量ごとに1㌧当り75円(10㌧まで)~同120円(100㌧超)に7区分されている。

 答申では、料金体系の違う3下水道事業の基本料金を800円に統一。7区分になっている使用料を、同75円(5㌧まで)~135円(30㌧超)の4区分とすることで一本化。

 市下水道課によると、標準家庭の一般的な使用料金は、同130円(10~30㌧まで)となり、水道料金と合わせた1カ月の支払額は、20㌧使用した場合、現行の6127円から6787円へ、660円の値上げとなる。

 答申ではこのほか、付帯意見として、一般会計からの繰入金について、現状程度(6千万~8千万円)を目途に引き続き行うことなどを求めている。

 答申を受け市は12月、市議会に料金引き上げの条例改正を提案する見込みで、答申を受け取った安田市長は「答申を重く受け止めている。持続可能な下水道事業の運営に努めていきたい」と述べた。

 同市の下水道事業は、1983度に名瀬地区で供用開始。以後、住用、笠利地区でも農業集落排水事業を導入するなど水洗化に取り組んできた。2022年3月末の下水道普及率は93%と全国的にも高い水準にあり、県内17市で最も高い。

 一方で、人口減少などによる使用料収入の減少が今後も続く見込みで、供用開始から約40年が経過した下水道管など老朽化など施設の更新が財政を圧迫。市は毎年度一般会計からの繰入などを行っているものの、24年度以降、資金残高不足となる可能性も指摘されている。

 こうした状況から安田市長は6月、同調査会に下水道事業の持続可能な運営について諮問。同調査会は4回の会合を開き、今回、料金引き上げなどを答申していた。