徳之島・与論島演劇祭

海を越えて初競演した与論島劇団「野生の島人」(写真上)と、徳之島劇団「海と大地」の公演=29日夜、徳之島町文化会館

海を越えて島民劇団競演
伝統芸能・文化をアレンジ
徳之島町文化会館

 【徳之島】徳之島劇団「海と大地」と与論島劇団「野生の島人」とが海を越えて初競演する「徳之島・与論島演劇祭」(徳之島町文化会館・与論島劇団同主催)の公演が30、31日の2回、同文化会館ホールであった。奄美群島を基軸に個性がきらめく伝統芸能・文化をアレンジした創作劇の競演で観客を楽しませた。

 両劇団の始動は与論町が2018年度、徳之島町も翌年度から加わった文化庁の戦略的芸術文化創造推進事業の一環。演出監修・指導は世界的演出家の小池博史氏が担当。演劇・楽器ともにほとんどが未経験者(与論)の上、コロナ禍での事業中断の困難も。しかし、自らの土地・海・文化・歴史をテーマにしたオリジナル作品の創作に注力。そして両島演劇祭への動きも持ち上がったという。

 2回公演ともに多くの演劇ファンが来場した。

 与論島劇団「野生の島人」の演目は『波打ち際の島人(しまびと)たち』。海と空、人と生き物たちの交じり合いが始まる与論島創造、懐かしく愛おしい人との出逢い。三味線をはじめ多彩な金管・木簡楽器もコラボさせたミュージカル風の独特な世界観を演出して魅了した。

 徳之島劇団「海と大地」の演目は『先祖様(うやほうがなし)の紡ぎ唄』。荒廃した大地に二柱の神が降臨。神が宿った水田が育んだ稲作文化・儀礼、人間模様を喜劇風に演出して熱演。来訪神の案山子(かかし)を掲げて踊る水稲の豊作感謝・予祝祭の継承に取り組む伊仙町の「犬田布イッサンサン子ども育成会」(18人)と、徳之島町の「井之川夏目踊り保存会」(4人)も出演協力して盛り上げた。

 小池氏(66)はあいさつで「両島ともに伝承や歴史が題材。他には絶対に真似ができない非常に強いオリジナリティーとコミュニティーを持っている。それぞれの島の特徴が舞台で出来上がったと思う」などと評価した。