話をする芝田氏
「相撲甚句」では飛び入り参加し、会場を盛り上げた
ANAホールディングス㈱の代表取締役社長、芝田浩二氏を講師に招いた、特別記念講演「奄美大島 瀬戸内町の新たな可能性とは」(同町商工会青年部主催)は5日、同町のきゅら島交流館であった。用意された200席は事前申し込みで満席。会場では、鎌田愛人町長の姿や立ち見をする姿も見られ、多くの来場者が〝凱旋講演〟を視聴した。
芝田氏は、加計呂麻島生まれ。薩川小、住用小、住用中、県立甲南高校、東京外国語大学を経て、1982年に全日本空輸㈱に入社。ロンドン支店長、ANAホールディングス㈱執行役員アジア戦略部長などを経て、今年4月1日に同社代表取締役社長に就任した。
講話は「奄美から世界へ」と題し、①これまでの振り返り②世界に誇る自然・文化③今後への期待―について。50年前の加計呂麻島の映像などを交えながら、生い立ちによる環境の変化が自分を育てたと説明。今後は地域航空や「空飛ぶ車」、ドローンの活用を期待するとし、「みんなで子どもを育てる、地域社会を受け継いでいくとともに、子どもたちは恵まれた環境にいることを自覚し、地域住民の期待に応えられるよう努力することが必要」と話した。
オープニングでは、加計呂麻島の芝・薩川両集落の住民などによる「相撲甚句」で凱旋を祝福。芝田氏も飛び入り参加し会場を盛り上げた。
講話終了後のセレモニーでは①薩川小学校卒業生からの花束贈呈②親戚からの子どもの頃の思い出話③薩川校区の子どもたちによる校歌斉唱―が行われ、芝田氏は、子どもたちからの質問に一つ一つ真摯=しんし=に答えた。
最後に、同町が委嘱した〝せとうち創成プロモーター〟に対し「これから瀬戸内町の発展に尽力していく」と意気込みを語り、子どもたちには「両親、地域のおじやおばの言うことを聞いて立派に成長して」と投げ掛けた。
退場後も多くの来場者からの記念撮影の求めに、一人ひとり丁寧に対応し会場を後にした。
主催した同青年部の森帆嵩部長は「今回は社長就任を地元から祝福したく開催した。加計呂麻島からも多くの人が来場し、思いは伝わったと思う」と語った。
「相撲甚句」を披露した、薩川集落の里ゆかりさん(66)は「地元出身者の偉業に応援の思いを伝えたかった。元気でますます活躍してほしい」と話した。
奄美市笠利町から来場し、記念撮影をした、松山すみれさん(25)は「瀬戸内町の友人から聞いて、ぜひ聞きたいと思い来場した。自分は地元を離れ奄美で航空会社に勤務している。奄美のために頑張ろうとより一層思った」と笑顔を見せた。