名瀬市街地でケナガネズミ

和光バイパス沿いの駐車場で見つかったケナガネズミ(提供写真)

関係行政機関 捕獲、動物病院で治療

南西諸島にしか分布しておらず、環境省が絶滅危惧ⅠB類に指定しているケナガネズミが奄美市の名瀬市街地で1匹確認された。発見者の連絡により関係行政機関が捕獲、現在動物病院で治療を受けている。ケナガネズミは夜行性でめったに見ることができないだけに、環境省は市街地での確認は珍しいとしている。

ケナガネズミを見つけたのは、保険代理店㈱ゆいわーく奄美支店勤務の政勝利さん(57)。職場は名瀬和光町のトンネルに通じる国道のバイパス沿いにある。政さんによると、9日朝出勤時に職員専用の駐車場を利用しようとしたところ、動き回らずじっとしているケナガネズミを発見した。

「ネコくらいの大きさで最初はマングースかなと思った。野生動物であり市役所に連絡したところ、世界自然遺産課の職員が駆け付け、捕獲した。立ち上がったが、それほど逃げ回ることはなく弱っている感じがした。市職員からアマミノクロウサギ以上になかなか見ることができない生き物と聞き、驚いた」と政さん。絶滅が危惧される希少種であり同課は環境省奄美野生生物保護センターに連絡するとともに、動物病院に運び治療を託した。

野生生物保護センターによると、動物病院の治療から神経に異常があるように感じられたという。センターは「(森の高木林などに生息する)ケナガネズミが市街地で見つかるのは、事例としてあまりない」としている。

環境省によると、ケナガネズミは奄美大島・徳之島・沖縄島と南西諸島に分布。日本に生息するネズミ類の中で最も大きく、ほかに似た種類もない特異な存在という。学術的にも貴重で天然記念物に指定されている。体は20~30センチで、長さ25~35センチと胴体より長く太い尻尾をもっている。体毛は黄褐色で、5~7センチの剛毛を混生させ、和名の由来になっている。夜行性でなかなか見ることができないことから、「生息数の推定はとても難しく、現状が把握できていない」実態にある。