検察懲役20年求刑

奄美市女性刺殺事件 弁護側は無罪主張 鹿地裁

2019年6月、奄美市名瀬小俣町で1人暮らしの瀧田得枝さん=当時(87)=が自宅で刺殺された事件で、殺人と住居侵入の罪に問われた住所不定無職の渡部円治被告(24)の裁判員裁判の公判が10日、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)であった。検察側は「犯行態様が極めて危険かつ残忍であり、悪質である」などとして懲役20年を求刑した。一方、弁護側は無罪を主張した。

起訴状などによると渡部被告は、瀧田さん宅に侵入し、刃物のようなもので複数回突き刺すなどして殺害した、としている。

公判では、証拠などの信用性が争われ、検察側は論告で「被害者宅の玄関を揺すり外しの方法で解錠するなど、犯人の行動と被告人の行動が一致」などとし「ご遺族の心痛は計り知れず、犯行動機に酌量の余地がない。反省の言葉、態度が一切ない」と指摘した。

弁護側は最終弁論で「DNA鑑定や指紋には信用性がなく、混入の可能性が残る。被告人が被害者を殺害したことは間違いないとは言えない」と改めて無罪を主張。また、意見を求められた渡部被告は「何もございません」と述べた。

判決は28日に言い渡される予定。