着付け講師・長谷川慶子さん

田中一村の絵をデザインした大島、帯、帯揚げとオール一村に身を包んだ長谷川さん

17年間、100人以上の生徒と大島紬美術館へ来島
「大島紬の宣伝任せて」

 奄美市笠利町の大島紬美術館(太田善文取締役)に先月、日本和装名古屋局の着付け講師・長谷川慶子さん(81)らが訪れた。長谷川さんは、同美術館がオープンしてから17年間、一度も欠かすことなく生徒らを引率して奄美を訪問。その数は100人を超える。生徒らに恵まれたという長谷川さんは「大島紬の良さは奄美で知ることが一番。軽くて着やすく、汚れを落とすことができるのが大島。大島紬の宣伝は任せて」と心強い言葉。今回の来島で同美術館の肥後勝代代表取締役から感謝状を贈られた長谷川さんに大島紬の魅力や今後などについて、日本和装名古屋局で話を聞いた。
 
 長谷川さんは新潟県出身。琴をたしなみ、明治生まれの母親に厳しくしつけられたという。着物を着続けて60年以上。日本和装名古屋局の着付け講師になったのは25年前。「着物が好き」で着付けに没頭した。

 訪れる生徒たちは、ほとんどが初心者。「タンスに寝ていた着物を着たくて訪れる。着られるようになると大喜び。これが一番うれしい」と着付け講師のだいご味を語った。

 きっかけはどんな着物でも構わないが、「大島は特に着ていただくしかない。着心地が最高です。奄美に行かないと買えませんとリピーターを増やしてきました。特に美術館の肥後代表らの粋な計らいで、自分が着ている田中一村の絵柄の大島を織った方と会えるのも、とても素敵なことです」と魅力たっぷりに話した。

 大島紬の今後について「着物は日本の伝統衣装。大島紬も絶やすことなく、若い人たちに着る機会をどんどん用意しないといけない時代になっている。工程の緻密さや素晴らしを知り、冬は暖かくて夏は涼しい、着崩れしない大島を奄美の若い人たちも毎日着られるようにして欲しい」と加えた。

 この日は、御園座で開催される「秋を彩る歌舞伎公演 坂東玉三郎特別公演」の観劇会の予定。長谷川さんは田中一村の絵柄の大島紬、帯、帯揚げなどオール一村で誇らしげに外出した。
(永二優子)