奄美市生徒指導審議委

初めて公開で行われた生徒指導審議委員会。生徒の立場にたった指導などが求められた

「生徒の立場で指導・支援を」
公開で開催 第三者委報告書の活用求める

 奄美市の生徒指導に関する取り組みや対策などについて市教育委員会に助言する「奄美市生徒指導審議委員会」(委員長・有倉巳幸鹿児島大学教育学部長、委員6人)の2022年度第1回会合が14日、市役所であった。昨年12月以来の開催で、新たに選任された3人を含む5委員が出席。2015年に奄美市の中学1年男子生徒が不適切指導により自死した事案で、調査報告書をまとめた第三者調査委員会副委員長の栁優香弁護士が、同事案の背景や同審議委員会に求められる役割などについて説明。「生徒の立場に寄り添った指導・支援」など、報告書に記された提言の実行を改めて求めた。

 同審議会は、自死事案を受けつくられた「生徒指導ハンドブック」の活用状況などを確認、教師による不適切指導やいじめなどを防止することなどを目的に昨年度設置された。年3回の開催を計画しているが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で昨年度は1回のみ。今年度も新型コロナや台風影響で開催できず、今回が初会合となった。

 昨年度は非公開で行われたが、委員から協議内容の公開を求める意見を受け、初めて公開で行われた。会合には、審議委員と栁弁護士のほか、自死した男子生徒の父親も出席。市教委などに対し、再発防止に向けた取り組みを強く求めた。

 市教委は、生徒指導ハンドブックの活用状況などを説明。委員からは学校と保護者、地域が連携して悩みを抱える子どもたちを支援する体制づくりなどを求める意見があった。また、有倉委員長は、第三者委がまとめた調査報告書について、大学院での活用事例を紹介、「自分事として考えることで、生徒指導の重要性に改めて気付くこともある。報告書は使われて初めて意味あるものになる」などと提案した。

 委員は、有倉委員長のほか、弁護士や臨床心理士、市人権擁護委員、市PTA連絡協議会長、市生徒指導連絡協議会長(市内中学校長)が務める。任期は来年3月末までで、今年度は2回の開催を予定。次回は2月に行う。