水陸両用作戦(着上陸演習)が本格化。陸自水陸機動団の上陸には水陸両用車計14台を投入=16日午後、徳之島町花徳
花徳海岸沖を滑走した海自「エア・クッション型揚陸艇」=16日午前
米軍と合同演習に初飛来した陸自輸送機オスプレイ=16日午前、伊仙町
【徳之島】自衛隊と米軍の日米共同統合演習(実動演習)「キーン・ソード23」(10日~19日)で徳之島では16日から、陸自水陸機動団による着上陸訓練(水陸両用作戦)が、徳之島町北部の花徳海岸でスタート。同島南部の伊仙町内の公園では日米双方の輸送機オスプレイも発着訓練を開始。「島嶼(しょ)防衛」訓練を本格化させている。
風光明媚(び)な砂浜が広がる花徳海岸では同日朝と午後の2回、沖合の艦艇から日本版海兵隊の水陸機動団を乗せた水陸両用車(AAV7)計14台が発進。姿を隠ぺいする発煙弾の煙幕の中を突き進み砂浜上に揚陸。完全武装の同機動団隊員らが仮想敵を目標に、自動小銃などの照準を合わせた。
並行して沖合の艦艇からは、隊員をはじめ戦車、戦闘車、装甲車など装備物資を一気に揚陸させる海自の「エア・クッション型揚陸艇」(上陸用舟艇、LCA)も投入。轟音を発し水煙を巻き上げながら砂浜上に滑り込むように上陸する訓練も繰り返した。
陸自の輸送機オスプレイ(Ⅴ‐22)は同日午前10時ごろ、同島南部・内陸部の伊仙町内の公園に回転翼機などとともに隊員輸送のための離発着訓練を展開。午後4時すぎには米軍のオスプレイも加わった。17日以降に双方の共同演習が本格化するものとみられる。
徳之島における「水陸両用作戦」演習の日米双方の隊員数や艦艇・航空機などの投入規模は不明。同作戦と並行して陸自西部方面隊第8師団では、同水陸両用の海上行動を逆に侵攻軍と想定し、海岸部に10式戦車などを配備した「実動演習(後段)」も展開しているもよう。
尖閣諸島周辺問題や懸念される台湾有事など、日本を取り巻く安全保障上の課題や不安定要因は、顕在化・先鋭化して厳しさを増しているとされる。合同演習は、南西諸島(全長約1200㌔)で陸自部隊配備の空白地帯の島々に、水陸機動団が迅速に駆けつけ、防衛あるいは奪還対処能力を高めるのも目的とみられる。
花徳海岸で演習を見学した町民男性(62)は「まるで戦争みたいな光景。しかし、いつウクライナの二の舞いになるか分からない。訓練を通して即対応・抑止力が高まり、わが国の安全が守られるならいいのでは」などと話した。
一方、17日夕は「奄美の自然と平和を守る郡民会議」(星村博文議長)による「日米合同軍事演習・反対集会」が徳之島町亀津で予定されている。
陸自水陸機動団は18日午後1時~2時半まで、花徳海岸で装備品などの一般公開も行う。