ドクヘリ調整委

21年度実績などを報告した奄美ドクターヘリ運航調整委員会

出動251件、減少傾向続く 21年度実績報告
海自鹿屋ヘリ廃止に懸念も

 2022年度奄美ドクターヘリ運航調整委員会が14日、奄美市名瀬の県立大島病院救命救急センターであった。21年度の出動件数は前年度比4件増の251件だが、全体的な比較では前年度に続き減少傾向で推移した。新型コロナウイルスの感染拡大による外出控えから、交通事故などが減ったことが要因とみている。

 21年度の要請件数は400件(前年度比6件増)で、不出動は149件(2件増)。出動件数は17年度523件、18年度451件、19年度303件だったが、20年度以降は大きく下回ってきている。

 減少の主な要因としては事故減少のほか、出動救急隊の熟練度の向上、陸路搬送との適正化などが挙げられた。一方、重複要請による他機関への対応は31件と高止まりが続き、消防機関別キーワード方式の採用率は62・7%と依然として低かった。

 島別の出動件数は、奄美大島103件(前年度比同)、徳之島63件(31件増)、喜界島32件(6件減)、沖永良部島29件(2件減)と続いた。1出勤あたりの現場滞在時間はほぼ横ばいで、施設間搬送での滞在時間は約2分短縮したものの、画像伝達システム(JOIN)の有効活用など、さらなる短縮を目指すことで一致した。

 喫緊の課題としては、海自鹿屋航空基地救助ヘリの廃止決定に伴い、搬送時間がこれまで以上に要することが想定されるなど、群島内患者の治療の遅延を懸念する声も挙がった。県へは、要請スキームの簡素化や県消防防災ヘリの夜間運航の検討などを要望。また、悪天候時や周産期などの特定領域での急患搬送先の確保に向けても、県へは県境を越えて調整するよう求めた。

 会には病院や行政、関係機関など委員約30人が会場とオンラインで参加した。与論島については奄美側で運航可能な場合でも、沖縄県のドクターヘリへの出動要請が可能になったことが報告された。