日米共同演習「キーンソード」

ハイマースを視察するNATOや7カ国の軍オブザーバーら

即応性、相互運用性を強化
奄美大島訓練公開 弾道M対処、離島防衛想定 豪・加・英ら視察も

自衛隊と米軍が日本各地で展開する共同統合演習「キーン・ソード23」の奄美大島での実動訓練が16日、報道陣に公開された。奄美大島では、陸自の地対艦誘導ミサイル(SSM)や米軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」が展開。弾道ミサイルへの対処や離島防衛などを想定し、自衛隊の即応性や日米の相互運用性の強化を図る。

期間は10日から19日まで。台湾有事などを想定し、奄美大島や徳之島を含む鹿児島から沖縄県の離島などで実施。海洋進出を強める中国をけん制する狙いがある。

奄美大島ではこの日、NATOと豪州やカナダ、英国ら7カ国から招いた軍オブザーバー14人の視察を兼ねて、陸上自衛隊奄美駐屯地(奄美市名瀬大熊町)と同瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)を案内した。

瀬戸内分屯地ではハイマースを中心に、米電子戦部隊第1マルチ・ドメイン・タスク・フォースらが連携した訓練を披露。ミサイルの再装填=そうてん=作業では、設置から発射、撤退までの一連の流れを実践し、その機動性が確かめられた。

奄美駐屯地では、各地の指揮系統を通信システムで結び、部隊間の連絡調整を日米共同で行い、装備展開までを訓練した。12式地対艦誘導弾も公開し、収容所では、米輸送機オスプレイと連携した患者護送・トリアージなども視察した。

16回目となるキーン・ソードには、日米合わせて約3万6千人、艦艇約30隻、航空機約370機が参加。今回は豪州とカナダ、英国の艦艇や航空機の一部が共同訓練に初参加し、離島防衛のほか、宇宙・サイバー・電磁波領域などでの作戦を確認する。