徳之島で日米共同演習

日米共同演習「水陸両用作戦」で着上陸演習を公開した陸自・水陸機動団=18日午後1時すぎ、徳之島町花徳海岸

共同演習地には北大西洋条約機構(NATO)軍派遣の関係者も

離島防衛・抑止力アピール
陸自水機団「水陸両用作戦」公開

【徳之島】自衛隊と米軍の日米共同統合演習「キーン・ソード」(10日~19日)で、陸上自衛隊・水陸機動団の着上陸演習「水陸両用作戦」が展開中の徳之島町花徳海岸で18日午後、共同訓練の模様を報道機関や一般住民に公開。イベントムードの見物客約1千人が見守る中、中国を念頭にした「離島防衛」連携による抑止力を積極アピールした。

花徳海岸での水陸両用作戦は、同島南部の伊仙町における日米双方の輸送機オスプレイの離発着訓練と並行して16日から本格化。連日午前、午後の2回、徳之島沖に展開する海上自衛隊と米海軍輸送艦から発進した水陸両用車による上陸演習を繰り返している。

報道公開予定だった18日朝の着上陸演習は、低気圧前線の通過に伴う激しい雷雨に見舞われ中止。海自「エア・クッション型揚陸艇」(上陸用舟艇、LCA)のみを揚陸訓練し、防衛省の井野俊郎副大臣や同省幹部が搭乗した。

公開演習は午後1時ごろスタート。沖合い(10~20キロ)に展開の海自輸送艦「おおすみ」からまず、偵察ボート(8人乗り)約10艇に乗った水陸機動団「偵察隊」が密かに上陸。米軍の攻撃ヘリ「AH―64(アパッチ)が旋回監視する中、日本版海兵隊の水陸機動団を乗せた水陸両用車(AAV7)が「おおすみ」から10両、米軍揚陸艦「ニューオリンズ」から4両の計14両発進。計3陣が波状的に煙幕を張り、水しぶきを上げて上陸。見物客たちからは拍手も聞こえた。

一方、同水陸両用作戦と並行して、陸自西部方面隊第8師団(約2百人派遣)は同水陸両用の海上行動を逆に〝敵侵攻〟と想定。花徳海岸には「16式機動戦闘車」を、近くの別の海岸部には「10式戦車」や通信所なども配置。水陸機動団の離島奪還、第8師団の離島侵攻阻止とみられる訓練を同時展開している。

花徳海岸には北大西洋条約機構(NATO)軍派遣の2人の姿も。スペイン人の中佐は、ウクライナ侵攻や日米連携、中国に近い南西諸島に関する質問への回答を避けていた。また、大挙して来島した国内外の報道機関の中には香港(中国)系テレビ局のクルーの姿もあった。

見物に訪れた徳之島町内の無職男性(81)は「国民として自衛隊の活動など実態を知る必要が。有事に備えた訓練は大事。離島に住む住民としては自衛隊の力が欲しい」。同町内の農業杉貴美子さん(48)は「これほど大規模な訓練だったとは。自衛隊が配備されて中国に備えて欲しい」と話していた。