コミュニティカレッジ講座

「多様性」に対応する環境づくりを考察した(18日、奄美市名瀬・市民交流センター)

多様性対応環境づくり
住とハンディキャップ考察

 オランダ発祥の知的障がい者のための環境プログラム「スヌーズレン」を中心に、多様性の社会づくりを考える講座「日米におけるARC活動・住(すまい)とハンディキャップ」が18日夜、同市市民交流センターであった。受講者38人が参加。障がいを持つ人々を踏まえた多様性の社会のあり方、その環境づくりを考察した。

 奄美市生涯学習講座「コミュニティカレッジ」(講師・徳雅美氏)の第6回目講座として開講。ゲスト講師を、カリフォルニア州立大学チコ校インテリア建築学教授のキージョン・ジオン氏(録画出演)、㈱重信設計専務取締役の重信千代乃氏、(福)三環舎理事長の向井扶美氏が務めた。

 スヌーズレン(Snoezelen)は、1970年代のオランダで生まれた、重度知的障がいを持つ人々との関わり方の実践や理念を指す考え。▽障がいを持つ・持たない問わず場を共有する「人的環境の整備」▽複数の感覚に刺激を与える「物理的環境の整備」▽援助者が同じ場で仲間として過ごす「関係性の深まり」―などがある。

 講座では、それぞれの専門分野から「スヌーズレン」を中心に、障がいの意味も含まれる「多様性」に対応する環境づくりの取り組みを説明。徳氏からは、米国のARC(身体的、知的障がいを持った人々のサポート)活動、ジオン氏からはスヌーズレンによる建築実例の他、自閉症の事実・症状についてそれぞれ報告された。

 向井氏は、運営する生活支援施設の導入事例として、照明を落とし視覚刺激をもたらすサイドグロウや、プロジェクターを用いたスヌーズレンの環境づくり「ホワイトルーム」を紹介。その設計に携わった重信氏は、奄美市役所の「みんなのトイレ」など実例を基に、バリアフリーの必要性などを伝えた。

 徳氏は講座終了にあたり、スヌーズレンの「多種多様な刺激を与えて感覚を活性化させる」という方法論が、ストレスにさらされる現代人全般に有効ではないかという見解を示した。