新ターミナルビル建設予定地。現ターミナルビルと貨物上屋に挟まれた約40㍍のスペースがある。
県は奄美市の名瀬港本港地区で整備計画している新旅客ターミナルビルについて、現在の旅客ターミナルビルの南側、貨物上屋(2号上屋)との間の幅約40㍍のスペースに建設する方針を明らかにした。建物は3階建てで、整備には数年かかると見られ、具体的な着工、完成時期などは決まっていない。現在、施設内部に整備する発券場、土産などの売店、飲食施設などの整備計画について、港湾関係者らと詰めの協議を進めており、来年度以降、関係者の意見を反映した基本設計など整備計画の具体化を目指す。
現在使用中の名瀬港ターミナルビルは1975年度に完成。鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積は約1360平方㍍。1階は荷役会社が貨物の保管などに利用、2階は旅客待合所として利用している。しかし、完成から47年が経過、老朽化が指摘されているほか、荷役会社などからフェリーの大型化や貨物量の増加などによる荷役スペースの手狭さなどが指摘されている。
新ターミナルビルを巡っては、長年、利用者や港湾関係者などから早期の整備を求める意見が出ていた。県は、国が同港で進めている岸壁の整備計画を踏まえながら、関係者と整備の在り方について協議を続けてきた。
新ターミナルビルの建設予定地について、県大島支庁建設課は「港湾関係者と協議を重ね、荷役作業と乗船客などの利便性を考慮し決定した」と説明。現ターミナルビルのすぐ横に位置する形で、同港のほぼ中央に整備することになった。
同港では国の事業で岸壁を約36㍍沖に拡張する改良工事が進められている。市街地側の2号岸壁(220㍍)が昨年9月完成。今後、鹿児島―沖縄航路のフェリーが利用している名瀬長浜町側の1号岸壁の整備に着手する。
このため、同航路のフェリー接岸場所も今後、2号岸壁に移るため、県はターミナルビル建て替えに先行して、フェリー乗船時に使用するボーディングブリッジを同岸壁に新設した。今後、現在使用しているターミナルビルとボーディングブリッジをつなぐ陸橋(スカイブリッジ)約90㍍も整備する計画で、同課は、今年度中にも、整備にかかる工事を発注することにしている。
同航路の接岸が、2号岸壁に移行する時期などは未定で、新施設の供用や既存施設の解体の時期は決まっていない。同課は「関係者の意見を設計に反映させたうえで、利用客の利便性向上を図れるよう、早期の整備、着工を目指したい」としている。