能楽の体験講座で伝統芸能を学ぶ

能楽体験講座で面や衣装を着用する生徒ら

「鎮魂の芸は奄美とつながり」
奄美市金久中 NPO白翔會から講師

 日本の伝統芸能である能楽を知るための体験講座が25日、奄美市名瀬の金久中学校(窪田智司校長・生徒325人)体育館であった。NPO法人白翔會(坂井音雅理事長)から講師を招き、2年生105人に仕舞と狂言を披露。生徒たちは所作やせりふなどを学び、能楽の魅力を体感した。

 体験講座は文化庁の「子どものための伝統芸術鑑賞・体験再興事業」の一環。世界自然遺産の奄美大島で無形文化遺産の能楽を体験してもらおうと、奄美市名瀬出身の水間英樹さん(75・神奈川県在住)の企画で実現した。

 能講座で登壇した坂井音雅さんは、父・音重さんと2代にわたる重要無形文化財保持者。「650年前の物語を、本を読むように想像力を働かせて楽しんでほしい」と呼び掛け、5人のシテ方(主人公や助演者)と「羽衣=はごろも=」「船弁慶」を実演。

 生徒らは謡いの仕方や舞の所作などの指導を受け、能面を被り装束を身にまとった5人の生徒の姿には、会場から拍手や笑い声が上がった。

 能面体験をした吉留空君は「面を付けると視界が狭くなる。あの状態で舞うのはすごいと思う」と能楽の奥深さを話した。

 奄美大島での体験講座に坂井さんは「この島には自然や神への畏敬の念が色濃く残っている。能楽は魂を鎮めるための鎮魂の芸とも言われ、奄美と能とは深いところでつながっている気がする」と振り返った。

 後半には野村太一郎さんと月崎晴夫さんによる狂言講座。午後は笠利中学校でも同体験講座が行われた。