山頂展望台を供用開始

展望台の供用開始とともに利用ルールの試行が開始された(25日、湯湾岳・祠広場)

環境省整備、お披露目会
「湯湾岳の利用ルール」も試行スタート

 環境省は25日、奄美群島最高峰・湯湾岳(694㍍)の祠=ほこら=広場にある山頂展望台の整備完了に伴い、供用開始および完成を記念したお披露目会を開催した。同省職員、伊集院幼大和村長、元山公知宇検村長など行政、関係機関約30人が参加。また、この日は山頂の保全ゾーンの立ち入り禁止、人数制限を推進するなど「湯湾岳の利用ルール」の試行を開始。今後、同山の観光利用と自然環境の保全の両面が図られる。

 同展望台の整備は、世界自然遺産地域、奄美群島国立公園特別保護地区に位置する湯湾岳の希少な植生を保全することが目的。山頂エリアへの立ち入りを抑制しつつ、利用者の満足感を高めることで、同岳の高付加価値化を図るとしている。

 展望台は高さ5・52㍍の木造。湯湾岳の大和村側の駐車場から山頂へと続くボードウォーク先の祠広場に位置する。19年に基本設計が始まり、22年5月着工。今月17日に完了検査が終了した。

 湯湾岳一帯は世界自然遺産の登録地域に含まれ、奄美群島国立公園の核心部として、特別保護地区として最も厳しい規制が敷かれている。祠広場から山頂までは保全ゾーンとして立ち入り禁止となる。

 同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長(58)は、あいさつにあたり、改めて同日施行される「湯湾岳の利用ルール」を説明。展望台から眺望を堪能することが、同ルールへの理解、貴重な自然環境の保全などにつながると話した。

 伊集院村長は祝辞で、2017年に大和村が「公園等整備検討員会」を設置し展望台の設置を協議、環境省に再整備を委ねた経緯に触れ、感謝に堪えないと語った。

 元山村長は、宇検村として湯湾集落と同村ガイド協会と連携を取り、安全第一に登山道の保全管理を行うとした。

 今後、展望台・立入防止柵・ロープ柵の維持管理は、環境省と大和村の協定締結に基づき行われる。