4年ぶり「ベルスーズ奄美」公演

奄美の交響譚詩「ベルスーズ奄美」を演奏する島のメンバーたち

島の唄と交響譚詩を未来へ
奄美の唄者や楽団、出身者らが共演
600人、重厚な音色に聴き入る

奄美のシマ唄とオーケストラが融合する交響譚詩=たんし=「ベルスーズ奄美と島唄を未来へ紡ぐ」(同実行委員会主催)が27日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。ベルスーズ奄美は、宇検村阿室出身の山畑馨氏がシマ唄をもとに作曲した交響曲で、公演は2018年以来4年ぶり。地元の音楽ファンら約600人が、島の唄者や管弦楽団の奏でる重厚な音色に聴き入った。

ベルスーズ奄美は、元NHK交響楽団のファゴット奏者として活躍した故・山畑氏が1979年にシマ唄をベースに編曲した7楽章から成る楽曲。島が誇る唄と交響曲を、次世代に受け継ぐ契機にしようと企画した。

コンサートは「シマ唄」「奄美市民歌合唱」「オーケストラ」の三部構成。第一部は、唄者の前山真吾さんと里アンナさんによるシマ唄『朝花』で幕を開けた。

第二部は、公民館講座初級コーラス受講生と奄美オーケストラの80人が共演。奄美在住のピアニスト・田中裕太さんも加わり、実行委の原田敬子さんが作曲した奄美市民歌「輝く未来へ」をオーケストラバージョンで高らかに歌い上げた。

第三部の『ベルスーズ奄美』では、同交響曲から『舟の高舳(ヨイスラ節)』などの2曲が披露。喜界町出身の碇山隆一郎さんの指揮で、奄美出身のヴィオラ奏者・川口さくらさんが演奏に花を添えるなか、奄美オーケストラによる壮大な調べに、前山さんの唄声が共鳴し合った。

最後はお馴染み『ワイド節』でフィナーレ。会場には大きな拍手が鳴り続いていた。

公演後、城明久実行委員長(コントラバス奏者)は「コロナ禍のなか、山畑先生が亡くなるなど途方に暮れていた中での演奏。大勢の人が来場し後押ししてくれたのが何よりうれしかった」と喜び、「継承に向けての一歩は踏み出せた。未来は明るい。(今後も)先生の遺志を受け継いでいければ」と笑顔だった。