城南海さん慶應大で公開講座

スクリーンを用いて講義をする城南海さん(円内はシマ唄を披露する、成瀬茉倫さん(左)と城南海さん)

公開講座を無事に終え笑顔のスタッフたち(左から3人目が川原繁人教授)

シマ唄も披露 独特の裏声「グイン」にも迫る

【東京】奄美出身の歌手・城南海さんがこのほど、東京都港区の慶應義塾大学で「歌とは何か」について語る、公開講座で講師を務めた。城さんは、約100人を前に奄美の言語などを解説。シマ唄も披露し、コメンテーターと共に独特の裏声「グイン」にも迫った。

公開講座は「うたごえを科学する」と題し、同大学言語文化研究所が主催。「日本の大学の現場で『歌う』という行為の意味に対して科学的な探究が十分ではない」との観点から、3人のプロ歌手を講師に「音楽と科学との対話」の可能性を探ったもの。全3回でヒップホップアクティビストZeebraさん、ゴスペラーズ・北山陽一さんと続いて城さんが抜てきされた。「うがみんしょーらん」と笑顔で登壇した城さんは、やや緊張気味。ステージとは違った表情で講義を開始した。

生まれ育った地域を伝えながら、奄美群島を説明。その後、総合政策学部3年の成瀬茉倫さんと共に「朝花」を熱唱した。「シマ唄は集落の唄で、沖縄とは違います。沖縄は男性が主ですが、奄美は女性に男性が合わせて唄います」と奄美と沖縄の音階の違い、シマ唄の歴史的な背景にも触れ、「ウタアシビ」も紹介。また「拝みて候が、『うがみんしょーらん』になったことなどから、奄美の方言の約7割は大和古語に由来すると聞いています」と解説した。

同研究所の川原繁人教授は、城さんのデビュー曲「アイツムギ」を分析。独特の裏声(ファルセット)グインが驚くべき現象を起こしている可能性があるとして、「グインについては、謎が多い。引き続き分析していきたい。城さんの講義で、唄は生きるためのものだった、というのを考え直すいい機会になった」と語った。

三田キャンパス北館ホールを舞台に展開された公開講座は、オンライン(ZOOM)でも100人以上が参加。大学生、高校生らが沖縄、九州、広島などから興味を示した。城さんは「分析される側で、緊張しましたが、またやってみたい」と瞳を輝かせていた。