甘い香りと湯気を漂わせ本格化した伝統の「純黒糖」製造=1日午前、伊仙町犬田布
師走の声に甘い香り
徳之島・伊仙町
○…徳之島・伊仙町犬田布の県道沿いにある徳南製糖工場(南郷秀一代表)で1日、伝統の「純黒糖」製造が本格化した。師走の声にせかされたかのように最低気温もようやく15度台に。黒糖独特の芳香を漂わせながら、季節の移ろいと製糖シーズンの到来を告げている。
〇…徳南製糖工場は1968(昭和43)年に現在地で創業。手作業で収穫されたサトウキビを圧搾、その圧搾汁(キビジュース)をひたすら煮沸してミネラル分も濃縮する「純黒糖」にこだわり半世紀余。熱源はキビの搾りかす(バカス)に加えて最近は、松くい虫被害で伐倒(ばっとう)された廃材も再利用。持続可能な資源循環型の伝統産業を守っている。
○…南郷代表(71)夫妻によると今期キビ原料のブリックス糖度の出足は「平均20度台と平年より高い」。昔ながらの「さたやどり(黒糖づくり小屋)」製造手法にこだわり続ける「純黒糖」の主な取引先は、黒あめやかりんとう、ようかんなどでおなじみの大手老舗製菓会社(和歌山県内)など。
〇…残りは「徳之島さとうきび100%、純黒糖、開封後要冷蔵」などのシンプルなパッケージで土産用などに直販している。「純黒糖は開封保存するとカビが生えやすいのが難点で冷蔵保存が必須。しかし、上質黒糖への〝自然回帰志向〟で年々問い合わせが増えています」。
〇…同工場の黒糖製造は来年3月下旬~4月上旬ごろまで予定。徳南製糖(電話0997‐86‐9010)。