県議会代表質問

奄振方向性に定住促進など
緊急一時避難施設、新たな指定へ市町村と協議

12月定例県議会は2日、代表質問があり、鶴丸明人議員=自民党、霧島市・姶良郡区=が登壇。2023年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向けて県は今年度総合調査を実施しているが、報告書素案で取りまとめた今後の振興開発の方向性について定住促進など整理したことが報告された。

西正智・地域政策総括監の答弁によると、調査により▽主に本土との間に経済面の格差がいまだに存在▽人口減少や高齢化の進展に伴い人材不足▽稼ぐ力が小さく所得が域外に流出―などの課題のほか、世界自然遺産登録を契機に「我が国の豊かで多様な自然環境の形成等に貢献する役割」など情勢の変化を受けた新たな役割が明らかになった。

こうした状況を踏まえ報告書素案では今後の振興開発の方向性として、①雇用機会の拡充や移住者を受け入れるための環境づくりなど定住の促進②世界自然遺産登録を契機とした自然と文化の保全③農業、観光および物づくりの振興や産業を支える人材の確保など稼ぐ力の向上④デジタル技術の活用や運賃軽減と輸送支援拡充など条件不利性改善⑤教育の振興や医療提供体制確保など生活基盤の確保充実―などまとめている。

西総括監は「引き続き社会資本の整備を進めるとともに効果的な施策の推進のためには沖縄との連携および調和ある発展に留意する必要がある。奄美群島がさらに発展するためには、法の延長とともに法に基づく特別措置による支援の充実が不可欠であり、今後とも県議会や市町村等の意見を聞きながら、さらに調査検討を進め今年度末を目途に報告書を作成する」と述べた。

屋久島町では武力攻撃を想定した国民保護訓練が実施されるが、国民保護計画に関する質問もあった。訓練の意義について長島和広・危機管理防災局長は「関係機関相互の連携強化や住民の理解促進はもとより輸送手段確保などの課題に取り組むことで本県の特性である離島をはじめとした他の地域のモデルとなり、国民保護計画の実効性を高めるものと考えている」と答弁。

緊急一時避難施設の今後の指定に向けた取り組みについて長島局長は「国は弾道ミサイル落下時の爆風等からの直接的な被害を軽減するため、一時的な避難に有効と考えられるコンクリート造りの堅ろうな建築物や地下街、地下駅舎等の地下施設、いわゆる緊急一時避難施設について21年度から5カ年間を集中的な取り組み期間として指定を推進するとしている」と説明。県では現在、地下施設を含めて新たな施設の指定に向けて市町村と協議を進めており、今後市町村と連携を図りながらさらに指定に向けて取り組む方針。国民保護計画ポータルサイトに掲載されている鹿児島県の避難施設(21年4月1日現在)をみると、奄美群島の市町村は公共施設や学校の建物を主に指定している。

6日から一般質問に入る。