徳之島産と世界のコーヒー飲み比べも

徳之島コーヒー生産支援プロジェクトで初開催のAGF社員たちによる特別授業=2日、徳之島高伊仙農場(伊仙町)

徳之島高でAGF社員らが特別授業

【徳之島】「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」に連携・協力を続ける飲食料品製造販売大手、味の素AGF㈱(AGF、本社・東京都、竹内秀樹代表取締役社長)の社員(コーヒーマイスター)らの特別授業が2日、徳之島高校を対象にあった。生徒たちは、世界のコーヒー情勢や特性など座学、自分たちが生産協力する「徳之島コーヒー」の焙煎(ばいせん)や抽出体験などで未来を考えた。

AGFは、2017年6月から鹿児島県徳之島の伊仙町役場や徳之島コーヒー生産者会、丸紅㈱との4者で「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を推進。現地農場を設置しての台風被害や土壌改善、収穫豆の精選機や焙煎機不足対策などにも協力。特別授業は、次世代に引き継ぐための後継者対策も兼ねた初のプロジェクト。

特別授業は徳之島高・伊仙農場(伊仙町伊仙)であった。同校総合学科・生産生物系列の2、3年生13人のほか、徳之島コーヒー生産者会会員など参観者含め約50人が参加。AGF側からは竹内社長を筆頭に、コーヒーの魅力を社内外に発信する社員育成検定「コーヒーマイスター」講座の最終を兼ねた若手社員ら合わせ12人が来島参加した。

マイスターらの特別授業で、生徒たちは世界中で好まれているコーヒーの現状、コーヒーが育つ条件(コーヒーベルト=北緯25度~南緯25度、徳之島は北緯27度)、コーヒーの商品化までの流れを学習。コーヒーの味を左右する重要な豆の焙煎からグラインド(粉砕)、抽出までの手順も体験。

「さわやかな酸味とほのかな甘み」の徳之島コーヒーと、本場のブラジルやベトナム産との飲み比べクイズにも挑戦。また、黒糖のやさしい甘さと島バナナのまろやかさと組み合わせたオリジナル「徳之島黒糖バナナラテ」なども試飲。生徒たちはグループごとに感想なども発表し合った。

生徒の1人・幸田大和さん(3年生)は「(ブラックコーヒーは)ふだんは飲まないが、徳之島産は外国産に比べて甘みがあって飲みやすい。興味がわいてきた。大人になって栽培できたらいいと思った」。生産者会(会員約30人)の吉玉誠一会長は「この形はわれわれ会員も初の体験に。徳之島コーヒーアイランド化を次世代に引き継げたらいい」。

静かに見守ったAGFの竹内社長(61)も「旅行客などにも徳之島産コーヒーを飲んでいただけるよう産業の柱になって欲しい」。緊張から笑顔に変わった生徒らの表情に、「コーヒー商品の究極の目的は安らぎと笑顔です」と目を潤ませた。