人権啓発フェスティバルin和泊

発表する沖永良部高校2年の川上天歌さん=和泊町あかね文化ホール=

 

「差別のある現状変えたい」
沖高2年の川上天歌さん呼びけ

 

 【沖永良部】人権について理解を深める「人権啓発フェスティバル」が4日、和泊町のあかね文化ホールであった。弁論発表では、沖永良部高校2年の川上天歌さんが、中国人の母親が受けた差別を打ち明け、差別のない社会の実現を呼び掛けた。

 川上さんは、コミュニケーションの問題から職場で孤立していた母親に浴びせられた冷たい言葉を知り、憤りを感じながらも何もできなかったと告白。ヘイトスピーチを取り上げたテレビ番組を見たことをきっかけに「差別のある現状を少しでも変えたい」と決意し、将来は小学校教諭になって「生きづらい世の中で、はいつくばって戦っている人々がいることを子どもたちに伝えたい」と話した。

 同フェスティバルは、町で12年ぶりの開催。出花字子ども塾による伝統芸能の発表を皮切りに、人権作文コンテストで優秀賞を受賞した和泊小4年の町田悠太郎さんと和泊中1年の横山珀琉さん、県小学生人権作文コンテストで奨励賞に輝いた大城小5年の片平悠葵さんの3人が作文を発表した。

 インターネットに関わる人権トラブルについて沖永良部署の寺内順平警部補が講話し、自身がインターネットで誹謗=ひぼう=中傷を受けた経験から「目の前で言われる言葉以上に、インターネットに書き込まれた言葉は傷つく」と述べ、「インターネットは生活に欠かせないものになっている。人を敬う心を持ちながら、うまく付き合ってほしい」と語った。

 このほか、東洋大学の西野理子教授が「現代社会における親と子~親にとって子どもとは何か~」をテーマに講演もあった。社会構造の変化に伴い、大学を卒業した子どもでもフリーターや非正規で働くことが十分にあると説明し「いまの若者は、長い人生の中でどのような職業キャリアを築いていくのか考えなければならない」と述べた。