新首長インタビュー・再選果たした森田天城町長

まずは一次産業所得向上を
あまぎ体験館「今こそ進める」

 任期満了に伴う天城町長選挙は4日に投開票され、現職の森田弘光氏(71)が新人の挑戦を抑え再選を果たした。一夜明けた5日、天城の選挙事務所で会見し2期目へ「ワンチームで、先頭を走る」と決意をにじませる森田氏。物価高やコロナ禍と不安定な社会情勢のなか、どのような思いで4年間の舵を取るのか。意気込みを聞いた。

―一夜明けて率直な気持ちは。

改めて重責を担ったなと思いを新たにした。きょうから2期目との思いで町民と約束したこと、発した言葉に責任を持って挑んでいきたい。

―前回選の接戦から一転、今回の結果をどう受け止めるか。

前回〝わだかまり〟が残ると言われたが、その中で分け隔てなく仕事をすることで融和していった。それらの姿勢に対する一定の評価が得られたと思う。町民も内向きの争いに終始する時代ではないと考えている。志を同じくする議員10人も当選した。協力し努めたい。

―1期目を振り返って。

コロナ禍に翻弄された1期目だった。そんな中でも、農業生産額が目標の45億円を超える47億5500万円の実績が上がった。(今後も)気候や自然に左右されない農業環境を作っていきたい。

―まずは何に取り組む。

農林水産業や畜産など、第一次産業の所得向上を図る。(コロナ禍や物価高など)不利な社会条件に向き合いながら対応できれば…。子育て支援や住宅政策、将来の子どもたちへの教育充実にも力を入れたい。

―「あまぎ自然と伝統文化体験館」が争点となったが。

闘牛が好きだからこそ若い人も島に帰ってくる。加工施設も隣接し天城町の海・山・陸の幸も提供できる。奄振交付金を活用しており総事業費11億円のうち、町の負担は1億6千万円。5年・10年後に若い人のいない天城町は考えることができない。今こそ進めたい。

―副町長のポストが空いている。

いったん否決されたが、職員と走り回りながらやってきた。議会議員と相談しながらしっかり(副町長を)置いて、(役割を)分担しながら積極的な2期目にしていきたい。

―改めて意気込みを。

人を大事にする町、喜びをみんなで共有する町、痛みや苦しみを分かち合って助け合うのが天城町。ノーサイドには時間がかかるかもしれないが、みんなで一緒に、ワンチームでやっていくという精神に変わりはない。天城町の発展・活性化のためにこれからの4年間、先頭を走っていきたい。
 (聞き手・青木良貴)
 
【メモ】
(もりた・ひろみつ)明治大学政経学部卒。1976年天城町入庁後は農政課長、総務課長を歴任。2011年1月から18年3月まで副町長を務め、2018年12月の町長選で初当選を果たした。地元ではみんなから「ひろちゃん」と呼ばれ親しまれる。趣味は読書。妻のトヨ子さん(68)と2人暮らし。子ども2人。71歳。