国内初確認の外来種

奄美大島でソテツを加害するカイガラムシは国内初確認の外来種「アウラカスピス ヤスマツイ」と判明した

奄美大島でソテツ「集団枯損」カイガラムシ
県発表、推定被害本数711本

県は7日、今年10月から奄美大島でソテツの「集団枯損」を起こしているカイガラムシは、国内初確認の外来種であることが判明したと発表した。カイガラムシ「アウラカスピス ヤスマツイ」で、近年、急速に分布を拡大し世界各地で確認されているという。

発表によると、11月に実態調査を行った森林技術総合センターでカイガラムシの種類を分析したところ、形態および被害の特徴が、海外でソテツ類に甚大な被害を及ぼしている「アウラカスピス ヤスマツイ」に類似していたことから、鹿児島大学に同定を依頼。同月29日に形態観察および遺伝解析の結果同定され、12月5日、国内での生息初確認と判明した。同定者は同大農学部の坂巻祥孝准教授、北海道大学名誉教授の高木貞夫博士(「アウラカスピス ヤスマツイ」の命名者)。

今月6日現在、被害本数は711本(推定)。10月以降、奄美市、龍郷町のほか、大和村でも確認されている。全葉が黄白色~褐色になった激しい被害は、奄美市名瀬地区に集中しているという。駆除本数は同日現在201本。被害葉の除去や幹への薬剤散布、カイガラムシの飛散防止を講じた処分などの対応を、大島支庁から所有者や道路・公園などの管理者へ周知済み。県道管理者などによる防除対策が進められている。

国内初確認となった外来種カイガラムシの奄美大島への侵入経路について、同センターの岩元高治所長は「激しい被害が集中している名瀬地区でソテツの外部からの持ち込みがなかったか聞き取りを行ったが、こうした事実は確認されず今のところ不明」と説明。駆除は登録薬剤で可能で、岩元所長は「生態系への影響を考慮すると奄美での使用はマシン油乳剤が適している。卵、幼虫、成虫に数回散布することで駆除できる」と話す。

カイガラムシ類は世界で約7千種、日本国内では約400種が生息しているとされている。国内初確認となった外来種の「アウラカスピス ヤスマツイ」はカメムシ目マルカイガラムシ科の昆虫。タイなど東南アジア原産。急速に分布を拡大しており、現在、中国南部、香港、ベトナム、シンガポール、台湾、ハワイなど世界各地で確認されている。多くのソテツ科植物に加害。生態は、▽1年に8世代の発生(中国)、雌成虫1匹から100匹以上に繁殖(台湾)▽雌成虫は殻で覆われ移動できないが、雄成虫は羽を持ち飛ぶことが可能―とされている。