徳之島のいろは「鍾乳洞あるき」

変化に富んだ鍾乳石の形や輝きに感嘆した参加者たち(ヨヲキ洞穴で)=10日、伊仙町

 

 

大自然の造形美にうっとり
伊仙町

 

 

 【徳之島】伊仙町歴史民俗資料館の今年度第5回「徳之島のいろは」体験シリーズ「鍾乳洞あるき」が10日午後、町内外の三つの鍾乳洞を対象にあった。親子連れなど約30人が参加。地表水や地下水が石灰岩層に織りなした大自然の悠久の芸術と、数千前以降の生活痕にもふれた。

 地域の特色ある埋蔵文化財活用事業体験イベントシリーズ。2年目の今年度は5月の「勾玉(まがたま)づくり」に始まり、6月は「匠の意匠(土器や貝製品の模様を楽しむ)、7月は「人骨のはなし」、「鍾乳洞あるき」が最終回に。今回も参加定員20人(先着順)に対し今回も倍以上の約50人が希望する人気ぶり。

 同日訪ねた鍾乳洞・洞穴は▽「ヨヲキ洞穴」(同町伊仙、義名山公園近く)▽「小島暗川(くらごう)」(同町小島)▽「下原洞穴」(天城町西阿木名)。

 悠久の時の流れで大自然が育んだ地質標本的の価値に加え、「ヨヲキ洞穴」では約4千5百年前~1千年前の人の生活跡が確認され、カムィヤキや土器、貝、骨製品など遺物を採取(同資料館展示中)。「下原洞穴」は奄美群島最古の「隆帯文(りゅうたいもん)土器」(1万3千~1万4千年前)が出土するなど重要遺跡(調査中)にもなっているポイントだ。

 現場解説には、同資料館学芸員らのほか元徳之島高校教諭・県立博物館学芸主事で理学博士の成尾英仁氏(71)=日置市在住、日本地質学会・日本地震学会会員=も飛び入りで協力。約1億年前~百万年前から水が石灰岩(隆起サンゴ礁)を溶かして地下川(暗川)を形成するなど鍾乳洞や鍾乳石、石筍(じゅん)など成り立ちも分かりやすくミニ解説した。

 母親と2人で参加した糸木名小2年生の岩本克己君は、目を輝かせながら「石(鍾乳石)とかがすごい形をしていて素晴らしいと思った。徳之島をこれからもっと探検してみたいです」と感動していた。