『ミステリー作家が見た 奄美の多様な生物800種』

発行書を手にする著者の鳥飼さん

広いジャンルの生き物紹介
図鑑著者の鳥飼さん「読んで楽しみ興味持って」

 『ミステリー作家が見た 奄美の多様な生物800種』と題した図鑑がメイツ出版(㈱メイツユニバーサルコンテンツ)から発行された。著者は奄美市名瀬在住のミステリー作家で、NPO法人奄美野鳥の会前会長(現在は副会長)の鳥飼否宇さん(62)=本名・鳥飼久裕=。専門の鳥類や昆虫だけでなく広いジャンルの奄美の生き物を紹介、世界自然遺産に登録された奄美の自然の特性である生物多様性の魅力を伝えている。

 同出版社の会長である前田信二さん(発行者)が5、6年前に来島した際、鳥飼さんが自然観察の案内をしたのがきっかけとなった。千葉県の図鑑を発行するなど自らも生き物に詳しい前田さんが奄美の生き物図鑑の発行を鳥飼さんに提案、鳥飼さんは「やります」と即答した。

 収録されている800種は、▽哺乳類10種▽鳥類115種▽爬虫類15種▽両生類11種▽魚類6種▽昆虫211種▽クモ綱18種▽多足類4種▽甲殻類24種▽腕足動物1種▽軟体動物12種▽扁形動物2種▽環形動物1種▽種子植物312種▽ヒカゲノカズラ植物4種▽シダ植物36種▽菌類17種▽粘菌1種。「千葉県や屋久島などの生き物図鑑の収録は多くて600種。800種を収録したことで、奄美に生息する多様な生き物の一端を紹介できたのではないか。奄美に関する既存の図鑑では扱っていないミミズの仲間や冬虫夏草も掲載している」と鳥飼さん。

 写真は、一眼レフカメラではなくコンパクトデジタルカメラやスマートフォンで自ら撮影。著書のまえがきで鳥飼さんは「図鑑なのに写真がひどいとはどういうつもりと怒ってはいけない。私は図鑑を作ったつもりはない。あくまでも奄美の生き物の紹介本だ」と記述している通り、作家らしい解説文に重点を置いている。専門用語はなるべく抑え、網羅性や厳密性よりも「読んで楽しくなり、奄美の生き物に興味を持ってもらう」内容にしている。

 出版社は「奄美に旅行に行こうと思う人はぜひ、この1冊を片手に奄美の多様な生き物に触れて。またいつか奄美を訪れたいと思っている人は、訪れる前に本書で奄美の動植物について理解を深めていただけたら」と呼び掛けている。

 サイズは19㌢・255㌻。定価2千円(税別)。全国書店、地元奄美の書店でも販売しているほか、ネット販売のアマゾンで取り寄せることもできる。