4校で「被爆体験講話」

講話する計屋さんと、サポートする美穂子さん

終了後、兄がつづった文書を見るため生徒たちが計屋さんを囲んだ

「平和を守るのは君たち」
長崎の計屋さん夫婦 写真とともに悲惨さ伝える

 (財)長崎平和推進協会会員で、第二次世界大戦末期に長崎に投下された原子爆弾で被爆した、計屋=はかりやあー道夫さん(85)は13・15日、奄美市及び龍郷町の4小・中学校で「被爆体験講話」を行った。児童生徒たちは戦争が起こった経緯や軍国主義時代の子どもたちの生活、被爆後の町や人々の様子など、多くの写真を用いた講話に真剣に耳を傾けた。

 小宿中学校の2年生が今年5月、修学旅行先の長崎で計屋さんの被爆体験を聴講。同校が「奄美の子どもたちに被爆体験講話をしてほしい」と話したことがきっかけで実現。妻の美穂子さんと初めて来島し、小宿中、奄美小、赤木名中、龍南中の4校で講話を行った。

 赤木名中では15日、1・2年生81人を前に講話。8歳の時に爆心地から3・8㌔離れた自宅で被爆した時の状況や軍国主義時代の学校教育、被爆後の人々の様子など、多くの写真とともに説明。悲惨な状況に目を伏せる生徒もいた。

 家族写真や兄が特攻に行くと決まってからの苦悩をつづった文書なども公開。被爆した6人の兄弟のうち4人ががんで亡くなったと話した。また「被爆当日、遊ぶ約束をしていた友達と2度と会うことはできなかった」と無念の思いを口にし、「戦争がもたらした悲惨な状況を知り、忘れずに。これからの平和を守るのは、自分でも先生たちでもなく、君たちです」と呼び掛けた。

 最後に生徒代表の當原心美さん(2年)は「今の私たちと戦争中の子どもの、価値観の違いを知ることができた。これからは友達を大切にし、今日の話を忘れずに過ごしていく」とお礼を述べた。

 計屋さんは、講話した感想を「小・中学生は素直に話を聞き入れてくれる」とし、「自分の体験を伝えることで、同じ思いの仲間として考えてほしい」と語った。

 鈴木琉心=るい=君(2年)は「戦争で多くの人が犠牲になったことを知り、残念に思った。自分たちが戦争をしないようにしていきたい」と話した。